こちらの公衆電話はコインでかけられるものとテレフォン・カードでかけられるものがあって、テレフォン・カード用のほうが圧倒的に多い。でも旅行中そう何度も電話をかけるわけではないので、旅行者には最低度数50のテレフォン・カードはもったいない。ということで彼女から借りていたのだ。テレフォン・カードは日本のものより厚手で、ICチップが埋めこまれた、いわゆるICカードになっている。
お嬢K はタクシーでホテルに来るはずなのだがなかなか来ない。一部、荷物の入れ換えをしないといけないのだが、どーしたのかなー。昼近くになってしまったので、先にチェックアウトだけ済ませていると、ようやく来た。電話で呼んだタクシーがなかなか来なかったんだって。部屋を明けてしまったので、ロビーで荷物の入れ換え(誰もいなかったから、迷惑かけてませーん)。「郵パック」の箱は、3段重ねでキャリヤに縛りつける。これって、なんだかなあ。フランス人にはわからんだろうが。
フロントで荷物をあずかってもらって、マドモワゼルM を会社に訪ねる。同僚の人が早めに昼食を切り上げて戻って来てくれた(ここの日本人スタッフは二人しかいないので、どちらかがいないとまずいらしい)。
近くのイタリアン・レストランへ行く。イタリアンといってもピザやパスタ・ランチではなく、メニューもたくさんそろっていてきちんとした料理を出す。私、鴨のローストいただきました。もちろん赤ワイン。幸せな国だ、ここは。
パリに来て感じたことなどとりとめのない話をしているうちに、あっという間に時間が過ぎていく。たっぷり1時間半の昼食でした。橋本教授 が念の為に持ってきた「正露丸」をマドモワゼルM にプレゼント。「助かりますぅ!」売ってないもんな、これは。彼女は先日、生牡蛎にあたったばかりなので、余計切実だ。会社に戻る彼女に滞在中のお礼を言って別れ、近くのブティック街を歩く。
ちょうど名刺入れが欲しかったので、私もお買い物。さすがによい革を使っている。革の感触が実に気持ちいい。ついでにパスも買っちゃった。安くはなかったけど、良いものだからね。
パリは今ソルド(バーゲン・セール)の真っ最中で、街中のお店に『SOLDES **%』の貼り紙が貼られている。ソルドは一斉に始まるらしく、「今年は遅くて15日からだった」とマドモワゼルM が言っていた。パリ・ジェンヌも普段はウィンドゥ・ショッピングにしておいて、この時期にまとめ買いをするらしい。どこも同じね。GOYARDも、四角い革の旅行鞄が半額になっている。縫製もしっかりしているし、金具も丈夫そうなやつが・・・買ってどうする!
ここには日本人はほとんど来ないみたいだ。日本のオネーチャンたちは、ヴィトンやグッチ、シャネルにプラダだもんな。誰も知らない良いものを持つのがおしゃれだと思うんだけど。みんなが持っているものを持ちたいという神経がわからない。
そういえばオペラ座近くのデパート『ラファイエット』でも、プラダのショップには日本人があふれていて、おまけに店の入り口にロープを張って入店制限までしていた。そうまでされてもまだ行列つくって並ぶか、ネーチャン! 地元の人から見たら異様な光景だよな。まあ日本の娘の行くところ、世界中どこでも見られる光景ですけどね。
普通のフランス人はヴィトンなんか持たない、とお嬢K 。ヴィトンはもともと商品に値札なんか付けてなかったのよ。金額なんか気にしない貴族の奥方が召使いとやってきて、「あれとこれとそれ、お願いね」で買っていく店で、平民の娘が持つものじゃないの。第一、似合わないでしょ。(私が言ったんじゃありません)。ま、しょっちゅう言われてることだけどね。世間の冷笑よりブランド品、だもんね。
もう一件、チョコレートの店へいく。『ラ・フォンテーヌ』というこの店は、いろいろなチョコレートがあるのだが、中でも小石そっくりなチョコが有名だ。一つ味見をさせてもらう。見た目は本当に小石なのだが、甘さがほどよくておいしい。お土産に買う。目黒の自由が丘にも店はあるが、味は地元の嗜好に合わせるので、こことは違うんだそうだ。いいよな、フランス語ができるといろいろ話が聞けて。
小雨が降ってきたので、タクシーでホテルに戻り、フロントに預けていた荷物を積んでそのまま空港へ行くことにした。ドライバーは"元"パリ・ジェンヌ。3人じゃ後ろは狭いからと助手席を勧めてくれた。一般にこちらのタクシーは助手席には客を乗せない。でもこのおばさん、けっこう運転が荒っぽいんだよ。空港まで高速をぶっ飛ばす。「あら、意外に早く付いちゃったわね」と笑っている。こっちは助手席でシートベルト締めてふん張ってたんだよ。
いささか時間があるので、免税品売り場へ行ってみる。フォアグラとかキャビアとか売ってるんだけどさぁ、もうちょっとで買いそうになったんだけどさぁ、理性が押さえた。早いとこ搭乗口に行こう。
飛行機の中で寝てしまうと家に着いてからの夜が寝られなくなってしまうので、機内上映の映画を2本観て、本を読んで、ご飯食べて、お酒飲んで、がんばる。飛行機は7日月曜の夕方6:30出発、およそ11時間ちょっとのフライトで、日本に着くのは8日火曜の14:00時の予定。フランス時間では朝の6時だから、貫徹状態なわけね、私。行きは半日得した気分だが、帰りは半日損した気分だ。
成田からリムジン・バスで新宿へ。新宿から渋谷へ。渋谷から祐天寺へ。ふぅ〜。外国から帰って来た直後にいつも思うのだが、新宿も渋谷もやたらと人が多くて、一瞬恐いと感じる。すぐ慣れるんだけど。そういうこと、ありませんか? どうしてこんなに人が多いんだろう。っていうか狭いのかな、建物にしても道路にしても。シャンゼリゼ歩いちゃうとね。
なんとか無事に家にたどりつく。いま寝てしまうと夜中に目が覚めて、次の日時差ボケしてしまう危険があるので、がんばっていつもの時間まで起きている。荷物をざっと整理して、さて夕飯はどうしよう。冷蔵庫の中は空っぽにしていったので何もない。これから買い物もなあ・・・『ふくむろ』(近所の和食屋さん)行こっと。おー、久々の刺し身だー(おおげさな・・・)、久々の天ぷらだー(おおげさな・・・)、久々の・・・歳とったな、俺も。
初めてのパリは、西洋人、西洋文化に対する思いこみと先入観をみごとに拭い去ってくれた。大人の国、旅行者に優しい人たち、ワインと料理、挨拶の国、古い建物と石畳、・・・この国を表現するたくさんのキーワードを見つけた旅行だった。この国にはまってしまって、住みついてしまった人たちの気持ちが、少しだけわかったような気がした。ちょっと、フランス語、勉強しようかな・・・
お断り:この旅行記はフランス滞在中に筆者の見たまま、感じたままを中心に記述したものです。初の訪仏で、しかも数日間の滞在ですので、誤解や見誤りがある可能性は十分あります。なるべく大目に見てやってください。どうしてもこれだけは言っておかないと、という方はメールでお願いします。