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■ 象のテラス
バプオンの次に訪れたのは象のテラス。
テラスというよりは城壁のような感じで、高さ3〜4メートルほどの壁が南北にのびている。ガイドブックのよると、その長さは350メートルほどだそうな。
どこが象なんだろう? と思っていると、テラスにのぼる階段のわきの壁から、地面まで鼻がのびた象の頭の立体彫刻が突き出していた。
「おお、確かに象だ〜」と感心したが、階段をのぼってテラス全体を見渡すと、長さ数100メートルのテラスの壁一面に象のレリーフが彫られていたのだった。
なるほど、象のテラスである。

階段わきの象 |
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象のテラス。長い。
しかもこれでも全景ではない。 |
象のテラスの端っこの方には、象の他にもテラスを支えているらしい力士のレリーフも見られた。
テラスの上は歩くことができる。
ガイドのKさんをふくめて3人でほてほてと歩く。
しかし、それにしても暑い。すでに汗がとまらん。
湿度が高いので汗が乾かず、熱が身体にこもる。
でも、これでも一番暑い4月よりはマシってんだから、一番暑い季節や推してなるべし、である。
象のテラスの東側には、道路をはさんで緑の野原があり、そのさらに向こうはジャングルになっている。
野原にはほぼ等間隔にのろし台のような形をした遺跡が並んでいた。地図によると、プラサート・スール・プラットという遺跡らしい。
プラサート・スール・プラットの建物のいくつかは、周囲を鉄パイプの足場にかこまれていた。
崩れかけた古い遺跡と、現代的な建築設備の組合せは、一見おかしな取り合せだが、わたしの中では妙にしっくりしていた。
プラサート・スール・プラットは見学のコースに含まれてないらしく、象のテラスから遠く眺めやっただけだった。
象のテラスの左側には、王宮とピアミナカスという遺跡があるようだが、こちらも見学はしない。ただ、テラスの上から王宮を取り巻いているらしいオレンジ色の壁を眺めるのみ。
その王宮を囲む壁の手前に、幹が白くとても背の高い木が何本も生えていた。その内の1本の幹に、黒く焼け焦げた跡があることを発見した。
焼け焦げは幹の地上1メートルくらいのところ、真っ黒に焼けた楕円形の口を大きく開けている。
何だろうと見ていたら、Kさんが「あれは油の木。幹に斧で傷をつけると、年に2回油がとれる」と教えてくれた。
へーえ、木から油。そんな木があるんだ。
この油の木はあちらこちらで見た。白い木の幹に焼け焦げた黒い口を開けているので、誰にでも見つけることができると思う。

油の木。黒く焦げてる。 |
象のテラスを真ん中くらいまで歩くと、左側に門のようなものが現れた。これは王宮に通じる門だそうな。
王宮が間近なせいか、このあたりはテラスの端っことは違い、端っこにはなかったガルーダのレリーフやシンハー(獅子)の像があったり、テラスを支える力士もテラス端っこのものより体格がよくなっていた。

象のテラスの力士 |
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王のテラスの力士 |
王宮の門正面にまた階段があるので、それを降りて象のテラスの観光はおしまい。ライ王のテラスというのもあるのだが、こちらは行かなかった。
降りた先は王宮前の野原。Kさんが「ほら、おじぎ草」と足元を指す。
ん? と思って足元の草をスニーカーでつつくと、スニーカーに触れた葉は軸を中心にしてふたつに閉じた。
視線を動かせば、そのあたりは一面同じ種類の草で覆われている。
おお〜、象のテラス前はおじぎ草畑だったのだ。
おじぎ草なんてひさしぶりに見たので当然遊ぶ。
一歩足を踏み出すと、一斉に小さなバッタが草むらから飛び立ち、わたしの足にさわったおじぎ草は葉を閉じた。意味もなくおもしろい(笑)。
そんなことをしてから、わたしたちは車に戻った。

おじぎ草 |

■ アンコール・ワットでお昼
象のテラスで午前中の観光は終わり。
これからわたしたちはいったんホテルに戻り、お弁当を持った後アンコール・ワットに向かう。
車に乗り込むと、エアコンが効いてて涼しい〜〜
今回ツアーで行ってよかったな、と思ったことのひとつは、この車のエアコン。
遺跡と遺跡を移動するわずかな間でも、エアコンの涼しい風にあたると疲れがとれるような気がした(もっとも、あたらなければあたらないで、身体が慣れるのかもしれないが)。
ホテルへの帰り道は行きと違う道で、「こっちは近道」とKさんが言った。
しかし、近道とはいえアンコール遺跡群に続く道、小さいながらもちゃんとチェック・ポイントがあった。
行きに通った道は両側に大きな木が立ち並んでいたような気がするが、近道の方は建物がけっこうあったように思う。
きれいなコテージが並ぶホテルのようなところや、白い壁に金色の屋根がまぶしいお寺みたいな建物とか。
屋根はあれども壁はないオープンお家もあった。中では男の人がごろごろと寝ていた。
建物のほかには畑。水車もあって、のんびりとした風景。
車が市街に近付くと、道が急に悪くなりがたがたと揺れ始めた。ちょうど水道管工事をしてたようだ。
そのわきを車がすりぬけ、やせこけた牛の行列が通る。混沌としている。
どこかの角で道を曲がった時、ヤシの木に実がたわわになっているのを見た。
そういえば、道端でヤシの実もよく売られていたな。
以前、サイパンで缶入りヤシの実ジュースというのを飲んだのだが、めちゃめちゃまずかったことを思い出す。
あの時はみんな「おいしいのだろう」と期待して買って飲んだものだから、あまりのまずさに気が遠くなりそうだったっけ。
あれは缶だからまずかったのかなあ。実から直接飲めばおいしいのかなあ。謎。
道路沿いにお米屋さんがあった。庭先にお米が少しこぼれているのか、雀が群がっていた。
でも、日本で見るよりも雀も小さかったように思う。
牛も犬も猫もやせているんだもんな。雀が小さくてもおかしくないか。
11時40分過ぎ、ホテル着。Kさんがホテルの人にお弁当を作ってもらいに行く。
お弁当と言っても、ホテルのレストランでわたしたちに出される予定だった料理を、そのまま包んでもらっただけらしい。
お弁当箱(?)は、中国でよく見かける白い発泡スチロール製のふた付き容器。
以前中国で見た時は、この発砲スチロールお弁当容器にご飯を入れて、その上にお好みのおかずをのせてもらっている人たちを見たっけ。あれじゃあ、どんな料理でも「なんとか丼」になっちゃうな、と思ったけど。
この白い発砲スチロール容器が、また薄〜いビニールの袋に入れられているあたりが中国風(笑)。中も合わせたように中華風の料理だった(笑)。

お弁当。どことなく中国を思い出す入れ物。 |
11時55分。お弁当とわたしたちを乗せて、車はふたたびアンコール・ワットへ。
このお昼をアンコール・ワットで過ごすというのは、ツアーのスケジュールでは予定にない行動。
わたしたちをアンコール・ワットに送り届けないと、自分たちが休憩にできないからか、車は近道をとばす、とばす。車がすんごくゆれる。
そしてアンコール・ワット着。西参道正面でわたしたちは車を降りる。
「中に入る時はこれを見せてください」と朝作ったばかりのアンコール遺跡群見学パスをKさんに渡される。
じゃあ、3時半にまたここで、と約束してKさんとはいったん別れた。
さあて、アンコール・ワットの環濠を眺めながらご飯だ!
環濠周囲の野原には、おあつらえむきにベンチが並べられていて、木も生えているから木陰もある。
雲が多いので晴れてはいないが、アンコール・ワットの環濠を渡る風吹かれながらお昼ご飯なんてゼータクじゃーん、とこの時は思っていた。
お土産売りのこどもたちからセールス攻撃を受けない距離にまで移動し、とある木陰のベンチまできて「ここにしましょうか?」とマダムに声をかけたら、「木の下じゃないほうがいいと思うわ」と言われる。
ふうん、何でだろ? と思ったが、これは木の下を避けて正解。この時わたしは見なかったが、木には虫がいたらしい。食事中に落ちてきたら、えらい騒ぎになっていたことだろう。
ようやくここと決めた石のベンチに腰をおろす。
お弁当の包みは3つ。よく見ると、お弁当の容器ふたつには、それぞれ「RICE」「FRUIT」と書かれている。おお、こまやかな気遣い。
開けるとRICEはそのものずばり真っ白なご飯だった。ややパサパサしていた記憶があるから、日本とは米の種類が違うのだろうけど、汁気の多いおかずにはぴったりだった。
そのおかずは2種類。ひとつはイカやエビなどのシーフードと野菜の炒め物。これは唐辛子とコショウの味が効いていて、激辛だけどめちゃうま。
もうひとつは豚肉とピーマンなどの野菜の炒め物。しょうゆっぽい味だったけど、ふつうのしょうゆじゃなかったと思う。タイのナンプラーを使っているんじゃなかろうか? いずれにせよ、辛い。

ご飯とおかず。レンゲつき。 |
辛い料理のせいもあるだろうが、食べていると汗が吹き出してくる。
うー、辛くて暑くなるけどおいしー、と思って食べていると、ベンチにあがってくるアリ(蟻)の数がただならぬほど増えてくることに気付く。
そしてベンチの裏をのぞきこむと、すでにアリの大群がっ!
ひ〜、わたしたちのお弁当の匂いにひきよせられて、アリたちが列をなしてやってきているのだ。
もはやベンチの上に食物をおいておくことはできず、おかずの汁がこぼれたビニール袋をおとりがわりにベンチの裏に置いて、わたしとマダムは手にお弁当を持って慌ただしく食事。
うーむ、こんな食事中に速攻でアリに襲われるとは。
カンボジアのアリは日本のアリとはガッツが違う。
デザートのフルーツは、ミカンとオレンジの中間のようなものと、ぶどう、青いバナナ、ライチ、ランプータンの5種。
カンボジア滞在中はいろいろなくだものを食べたけど、ぶどうはこの時一回限り。実の細長い、日本ではあまり見かけない種類のぶどうだった。

デザートのフルーツ |
12時50分、どうにか食事終了。
アンコール・ワットもそうだが、アンコール遺跡群全体がゴミ対策に熱心なのか、ごみ箱はあちらこちらにある。問題なくお弁当の容器をごみ箱に捨てる。
お水を飲みつつしばらく休憩。
すると、背後の道路から「ギーッ!!」というものすごい悲鳴が聞こえてきた。
何かと思ったら、バイクの荷台に仰向けになった豚がくくりつけられていて、その豚が悲鳴をあげているのだ。
悲鳴もすごいが、豚の運搬方法もすごい。
さて、そろそろアンコール・ワットに行くか。
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