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■ 朝食2
午前5時30分、起床。超絶眠い。
目覚ましは鳴ったが、目覚ましの音を目覚ましとして知覚するまでかなり時間を要した。うう、疲れている。
カーテンを開けて外を見ると、青い空にオレンジ色の雲が浮かんでいる。
そうか朝日は見えなくても、今朝は朝焼けしていたんだな。
――って、日本で朝焼けって言ったら、今日の天気は雨じゃん。
カンボジアで日本と同じ理屈が通用するかどうかわからないが、今日も天気良くないんだな、と思う。
6時過ぎ、ビュッフェの朝食へ。
昨日はなかったビーフンととうもろこし入りパン・ケーキが増えている。その代わりに、焼きそばと何かがなくなっていたな。いちおう日替わりらしい。
というわけで、今朝のメニューはビーフンにパン・ケーキ、フランスパン、ベーコン・エッグ、パイナップルにパパイヤ、そしてオレンジジュースとコーヒー。やはり野菜はない。

今日の朝ごはん |
本日の朝食も、ダイニングにいる客はわたしとマダムのふたりだけだった。
マジでわたしたち以外に客がいないんだろうか?
いや、昨日夜コオロギだかトカゲだかで大騒ぎしている白人女性がいたっけ。じゃあ、他にもお客さんはいるんだよな。
たまたま時間がすれ違っていて、顔を合わせないだけだろうか?
うーん、謎。
■ カンボジアの小学校
今日はすぐに出かけられる支度をしてきたので、ダイニングから待ち合わせのロビーに直行。すでにKさんは来ていて、ソファに座って新聞を読んでいたと思う。
定刻通り6時30分、出発。
本日の予定は、午前中がアンコール遺跡群の大回りコース、午後が小回りコースの観光となっている。どうもそういう「コース」というものが設定されているらしい。
なので、まず手始めにわたしたちはアンコール・トム[Angkor Thom]の北大門を目指す。
ちょうど通勤ラッシュの時刻なのだろうか、バイクや自転車の往来が激しい。赤土の道路に赤い土煙が立っている。
道の左右を見ていると、制服を着た小学生らしき子どもたちが、道路を渡ろうと車が途切れるのを待っている。
へえ、制服があるのか。
「カンボジアは小学校の施設も先生も足りないので、授業は2交替制でやってるんです」とKさんが言う。
うん、その話はわたしも日本で聞いたことがある。
というのも、我が愛しの(というほどでもないが)コーヒー・ショップ「ドドール」では、「カンボジアに学校を贈る会」という団体の募金活動に協力しているからだ。その活動内容を紹介する冊子の中で、カンボジアの現在の教育現場が伝えられていた。
なんでもカンボジアでは、レンガが40,000個集まると、小学校が建てられるのだそうな。
もとはひとりの日本人女性の呼びかけではじまった活動だったんじゃないかな? それをドトールが助勢しているらしい。単純に、いい話だな、とわたしは思う。
しかし、それでもやはり今でも子どもの半数(それ以上か?)は、家計を支えるため働いているので学校にいけないんですよ、とKさんが言った。
よく、いわゆる発展途上国の働く子どもたちと日本の勉強する子どもたちを比較して、「日本の子どもは生活力がない。見よ、あの国の子どもたちを。なんてたくましことか」などという大人がいるが、あれは間違っていると思う。
どうせ比較するなら戦後まもない日本の子どもと比較しろよ。平和な国の子どもと内戦が終わったばかりの国の子どもを比較してどーすんだ? それって意味があるのか?
ちはる、車の中でむらむらと怒りがわきあがる(笑)。
もし働かなくていいのなら、あの物売りの子どもたちも学校に行きたいのかな? それとも行きたくないかな?
勉強は好きだけど、学校が大嫌いだったわたしはちょっと悩む。
ちなみに小学校の授業は、午前中は7時〜11時、午後は1時〜5時までとのこと。
6時30分にホテルを出たわたしたちは、やはりちょうど通学ラッシュにあたっていたわけだった。
■ アンコール・トム北大門へ
角をいくつか左右に曲がり、オブチ・ホテル(グランド・ホテル)で左折すると、アンコール遺跡群に真っすぐ通じる道に出る。
ジュースやタバコを売る屋台が軒をつらねるサッカー場とアンコール小児病院前を通過し、遺跡見学のパスをチェックするポイントを出ると、道は昨日も通った大きく左右に枝をはる木々のトンネルとなる。
すぐ隣をばーちゃんふたりを乗せたバイタクが走る。しかも横座り。すごいもんだと感心する。
昨日も曲がったシアヌーク国王の肖像画があるT字路で左折すると、車の後から日が射すのがわかった。
ふりかえると太陽が見える。でも雲も多い。
西参道前を通ると、白い雲がたなびく青空を背景にアンコール・ワット
[Angkor Wat]が見えた。
おおー、今日も見ちゃったよアンコール・ワットを、と感動する。
アンコール・ワット前の屋台はすでに営業を開始している。みんな働き者である。
市場らしきものも立っていた。さまざまな商品が並べられていて、人もたくさんいる。裸の子どももちらほらと走り回っていた。
6時54分、昨日サンセット見学に来たプノン・バケン[Phnom Bakheng]前を通過。まもなくしてアンコール・トムの南大門も通過する。
車の中はエアコンが効いているせいもあるのだろうが、朝が早いのでまだ涼しい。
左右には緑豊かな巨木が立ち並び、まるで高原をドライブしているみたいだ。
対向車とすれ違う。しかし、車ではなくバイクだった。20人くらい人が乗った台車をひいて走るバイク。
ひとりの体重が50kgとしても、1トン近い重量をひいているわけなんだけど、いったいあれって何馬力のバイクなんだ? 見かけはホンダのカブなのに。
やればできるもんなんだなあ、とこれまた感心させられる。
南大門から3分ほどでバイヨン前に到着。
くもり空の昨日は黒っぽく見えたバイヨン[Bayon]寺院は、今日は朝日を受けて白く輝いていた。同じ建物でも、天気で見え方がえらく違うな。
バイヨンの南→東→北と、外側をなぞるように走った後、車は今度は象のテラス前の道に出た。
昨日見たおじぎ草の野原は、朝日を浴びていっそう緑が鮮やかである。
そしてこの道を真っすぐ抜けると、アンコール・トムの北大門となった。
車を降りる。さすがにまだ午前7時。エアコンが効いてなくても涼しい。

アンコール・トム北大門 |
北大門は、基本的に南大門と同じ造り。迫り出しアーチ上に四面尊顔像があり、アーチの左右には鼻の長〜い象の立体像。そして門を抜けた北側の道の左右には、神々と阿修羅が蛇の身体を綱引きする乳海撹拌をモチーフにした欄干がある。
でも、北大門は南大門に比べて草深い感じがした。
四面尊顔像も、朝日を受けているせいか陰影がはっきりしていて、目を凝らさなくても自然に顔を見て取ることができる。
しかし、こちらの綱引きはほとんど神々と阿修羅の首がなかった。壊れたまんまなんだな。
地面まで達する石でできた象の鼻先をさして、Kさんが「これは蓮華の花をつかんでいます」と言った。
ああ、この象の鼻、先端がやたらもこもこしていると思ったら、蓮華の花を彫刻してあったのか。へえ、芸が細かい。

ここの象はよく残ってる |
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わかりにくいけど、
蓮華の花をつかむ象の鼻 |
南大門もそうだが、北大門も付近に住む人々にとってはごく普通の生活道路。勤務先に向かう人たちが、自転車に乗って通り過ぎていく。
何気ない朝の風景がそこにあった。
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