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■ タ・プローム[Ta Prohm]
4時11分、バンテアイ・クディ離脱。
車に乗ってバンテアイ・クディの外壁沿いに走り、次の遺跡へ向かう。
この時、外壁にはよくチベットで見るような仏教の五色の旗みたいなのがはためいていたが、五色の色が全然違うぞ。仏教とは関係ないんだろうか?
未舗装の道を走って、わずか2〜3分で次の遺跡、タ・プロームに到着。すんごく近い。
タ・プロームの入り口の門は、屋根の部分が崩れて落ちてしまっていて、左右の門柱しか残っていなかった。その間をぬけて中へ。

タ・プローム入口。敷地内から。 |
すると、そこには広大な野原が広がっていた。そしてその向こうにはジャングル。
遺跡なんて全然見えないじゃん。どーなってんだ?

入口を入ると野原が。何もない・・・ |
しかし、ここがタ・プロームなのだった。どうやらめちゃめちゃ広い所らしい。
Kさんによると、タ・プロームはアンコール・トムを造ったジャヤヴァルマン七世が、自分のお母さんの菩提を弔うために、1186年に建てたお寺とのこと。
「タ」には「お爺さん」とか「古老」とか「偉大なる」とか「尊敬する」という意味があるそうな。
「プローム」はブラフマーという意味らしい。
ブラフマーは仏教だと梵天になるから、合わせると意味は「偉大なる梵天」ってところか。
セメントか何かがつまっていたらしい麻袋がしきつめられた土の道を歩いて、野原の真ん中を進む。
麻袋には象や熊や太陽など、さまざまな絵が描かれていた。

地面に敷き詰められていたセメント袋 |
野原にはあまり音がしない。静か。
しかし、耳をすますと遠くからラッパの音が聞こえてくる。どこで誰が吹いているんだろ?
いままではどこの遺跡でも鳥の声がうるさかったが、ここは鳥が少ないのだろうか? しかし、虫の鳴く声は聞こえた。
ジャングルの中に入ると、うっそうと茂る木々の中に埋もれて石造りの建物が見て取れた。これは経蔵だそうな。
手入れはされていないのだろうか? だいぶ崩れていた。
そうしてようやくメインの建物が見えてきた。
タ・プロームはバンテアイ・クディと同じように、建物の前にテラスが設けられていた。
ただ、タ・プロームのテラスはバンテアイ・クディと違って、テラスの石が緑色の苔に覆われていた。建物もかなり苔むしている。

苔むしているタ・プロームのテラス |
おお、風流――などとわたしは思ってしまったが、実際には苔は石をやわらかくする(Kさん談)なので、遺跡にとってはよくないのだそうな。
そういや他の遺跡はあんまり苔むしていなかったな、と思っていたら、アンコール・ワットも以前はすごい苔むしていたのだが、インド人が全部とりました、とKさんが言っていた。ふむ。
この時、遺跡上空は晴れていたので、石が白く見えたらしい。
だからわたしのメモには、タ・プロームは「緑と白の遺跡」と書かれている。
「ここはガジュマル(スポアン)の木がたくさん生えていることでも有名な遺跡です」とKさんが説明してくれる。
ああ、遺跡に木がからまっている写真で有名な所ね。
へー、ここがそうなのか。
その前哨戦ってわけでもないのだろうけど、遺跡前のテラスにも、太い筋が何本もよじれたような白いスポアンが生えていた。
その中の1本は、テラスの石畳と土の地面の境目に根をおろし、土の上はもちろん石の上にも何かの触手のように根を広げていた。根を広げるっていうか、はびこるって感じか。
しかもスポアンはでかい。Kさんに訊いたら「(樹齢)300年くらいです」と言っていた。
そんな木が何本も、あちらこちらに生えている。
「あら、これ何かしら?」とマダムが地面から何か拾った。青い(緑)けど小さな柿のような実だった。
「それはガジュマルの実です」とKさん。
へー、こんな実がなるんだ、ガジュマルって。
マダムが「これ、美味しいんですか?」と訊いたような記憶があるが、残念ながら答えはおぼえていない。
2、3個ひろって持ち帰ってみたが、結局腐ってしまった。

ガジュマルの実 |
他には何か落ちていないかと地面をよく見る。すると、犬の足跡があった。犬も遺跡に来るんだな。
Kさんが遺跡の屋根を指差して、「あれは朝鮮人参(Kさんの発言のママ)というあだ名がついている木です」と言う。
見ると、確かに高麗人参のような根が屋根にちょろっと出た木があった。なるほどね。

左上の方にちょろっと高麗人参みたいな
根が見えている。わかるかな? |
遺跡の建物内に入る。ここは建物にスポアンがからまっていることが有名な遺跡なので、建物はあまりおぼえていない。
そしてしばらく歩くと、よく写真で紹介されている超有名な場所に出た。
そこには、建物の屋根の上にどっかりと座りこみ、両手で屋根をからめとりながら足を組んでふんぞり返っているみたいな巨大な白いスポアンの木があった。
おお〜。すごい。

アンコール・ワットの次に有名な風景 |
当然ここは大人気のスポット。
木の根元に座って写真を撮りたいが、白人の団体ツアー御一行さまとはちあわせてしまい、なかなか根元に近づけない。
しかし、これは絶対撮っておいてもらわないと後悔する、と思ったので、思い切って根元に走り寄り、無事写真を撮ってもらった。
この他にも撮影ポイントである遺跡に木がからまっているところはたくさんある。
Kさんはもちろん撮影ポイントに詳しいので、わたしたちはあちこちで写真を撮りまくった。感謝。
せっかくなんだからちゃんと建物にも目を向けよう、と思ってみると、タ・プロームもいたるところにくっきりとしたデヴァターや何かの説話を描いたらしいレリーフがあった。
きれいな彫刻をほどこしてあるけど、実は開かないニセ扉もあった。
そうして遺跡全体を見渡せば、苔に覆われた石が、崩れて折り重なっているところもたくさんある。
平らな地面の上にも、崩れて転がってきたのだろうか、緑に変色した石がところどころに散在していた。
西へ西へと遺跡を歩く。
すると、遺跡の中心から外側に近づくほど遺跡の崩壊がひどくなっていた。
そしてさらに進むと、タ・プロームはまたしてもジャングルにかくされて、まったく見えなくなってしまった。

遺跡はふたたび密林の中へ消えた |
密林に姿を消す遺跡か――
次に来た時、この遺跡はどう変わっているかな? とちょっと思った。
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