ホルスト作曲  組曲《惑星》 op.32(1914−1916年)

●ホルスト 組曲「惑星」
●ヴォーン=ウィリアムズ グリーンスリーブズによる幻想曲
●ドビュッシー 月の光
●フォーレ シチリアーノ〜「ペレアスとメリザンド」より

ユージン・オーマンデォ指揮
メンデルスゾーン・クラブ女声合唱団
フィラデルフィア管弦楽団


BMGビクター BVCC-9372
 
●ホルスト 組曲「惑星」
●J.S.バッハ トッカータとフーガ ニ短調BMV565 (ストコフスキー編曲)
        コラール変奏曲《高きみ空より我は来れり》BWV769 (ストラビンスキー編曲)

ボストン交響楽団
ニューイングランド音楽院合唱団・タングルウッド祝祭合唱団
小澤征爾指揮

フィリップス PHCP-10532 

グスターヴ・ホルスト(1874〜1934)は、イギリス生まれの作曲家。スエーデン人の家系であり、父が音楽教師、母がピアニストという環境で育った。やがてロンドンの王立音楽大学で作曲を学ぶ。在学中はトロンボーンを学んだり、ヴォーン・ウィリアムズと知り合ったりする。

卒業後は、トロンボーン奏者として活躍するが、一方でダリッジ女学校の音楽教師、セント・ポール女学校の音楽教師を兼務した。

また、モーリー・カレッジ音楽部長、王立音楽大学教授、レディング大学教授を務める。

このような多忙の中、作曲の方は日曜日にいそしむこととなる。またインド哲学に魅せられ、サンスクリット語を学び、東洋趣味に傾倒した時期もあった。

また、東洋趣味から脱却してもっとも充実した時期に書かれたのが、この≪惑星≫であった。

やがて、1932年にはハーヴァード大学の作曲の客員教授として渡米するものの、病気のため帰国、2年後に世を去った。

ホルストは多忙な生活のためか、残した曲数はそれほど多くはないが、オペラ、管弦楽曲、合唱曲など広いジャンルに渡っている。吹奏楽曲も残し、≪第1組曲≫≪第2組曲≫は日本でもよく演奏されている。

この組曲は「地球」と「冥王星」を除いた7つの惑星を題材にしたもの(冥王星が発見されたのが1930年のことであった)。ホルスト自身、占星術への関心もあったといい、暗示を受けて作曲した。ただの標題音楽ということではなく、それぞれ「○○の神」といったサブテーマがつけられており、広い意味での音楽内容を含んでいる作品ととらえられる。



第1曲《戦争の神・火星》

4/5拍子で書かれ、弦のコールレーニョで繰り返される特徴的なリズムにのって、広がりのあるメロディが奏される。

第2曲《平和の神・金星》
4/4拍子、アダージョで静かで叙情的な音楽。ソロバイオリンが印象的。前曲の「火星」の雰囲気とはがらっと変わる。

第3曲《翼を持った使いの神・水星》
6/8拍子の軽快な雰囲気で、ヴィヴァーチェ。チェレスタが聞こえ、全体に柔らかな曲調になっている。

第4曲《快楽の神・木星》
2/4拍子の心浮き立つようなイントロに続き、華やかな金管楽器が登場。スケールの大きな曲である。途中、テンポを落とし3/4拍子の民謡風な旋律が、堂々と奏される。再び2/4拍子に戻り、華やかに曲を閉じる。


第5曲《老年の神・土星》
4/4拍子、再びアダージョ。侘びしささえ漂わせる雰囲気の第1部、昼間部はリズムも変化し、ティンパニなどが印象的。ここではオルガンや鐘の音も聞こえる。スケールが大きいが、静かに消えゆく。

第6曲《魔術の神・天王星》
6/4拍子、アレグロ。静かなイントロで始まるが、付点リズムの印象的なホルンの旋律が華やかに奏され、やがて金管楽器に受け継がれていく。鮮明な色彩感のある曲。

第7曲《神秘の神・海王星》
4/5拍子のゆったりとした曲。組曲の終曲ではあるが、この当時での惑星の中で、この海王星が最も新しく発見された(1864年)もので、地球から一番遠い存在の星というイメージで、大変神秘的な音楽である。全体に消え入るような静かさの曲で、メロディらしいメロディも感じず、チェレスタは印象的。そして更に神秘的な雰囲気を醸し出すのが女声合唱が加わる(ステージでは舞台裏から)。


この曲は、大変人気のある曲です。よく耳にするのは《木星》《火星》でしょうか。《木星》は華やかで鮮やかな色彩感のあるオーケストレーションです。中間部の有名な民謡風の旋律は、「賛歌」のようで、またどことなく東洋的な雰囲気を感じ、感動的です。
また第1曲目、5拍子の《火星》も金管楽器が鮮やかに登場し、かっこいいです。管弦楽としては大規模で、ティンパニ奏者も2人いたり、女声合唱が加わったり、オルガンが聞こえたり…。それぞれの曲が個性的で、多彩なものです。
また作曲後に発見された「冥王星」は、ホルストは作曲していませんが、もしホルストが知っていて作ったら、どんな曲になっていたでしょうか。<2003.2.7.>