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| モーツァルト作曲 《レクイエム》 k.626 |
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| ●モーツァルト 「レクイエム」ニ短調 k。626 ウィーン国立歌劇場合唱連盟 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 カール・ベーム指揮 ポリドール(ドイツグラムフォン) POCG-7009 |
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| ●モーツァルト 「レクイエム」ニ短調 k。626 ●モーツァルト 「アヴェ ヴエルム・コルプス」 スウェーデン放送合唱団・ストックホルム室内合唱団 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 リッカルド・ムーティ指揮 東芝EMI TOECE-7086 |
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| ●モーツァルト 「レクイエム」ニ短調 k。626(バイヤー版) ウィーン国立歌劇場合唱団 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(オリジナル楽器使用) ニコラウス・アーノンクール指揮 TELDEC WPCC-5320 |
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| ●モーツァルト 「レクイエム」ニ短調 k。626(ランドン版) テレツ少年合唱団 ターフェルムジーク・バロック管弦楽団 ブルーノ・ヴアイル指揮 ソニー SRCR 2533 |
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756〜1791)は、オーストリアはザルツブルク生まれの作曲家。ハイドンとともに、いわゆる古典派の時代に活躍した。父は、「おもちゃの交響曲」で知られるレオポルド・モーツァルトで、アマデウス4歳のころから音楽を教えた。
神童といわれたモーツァルトの逸話は多く、音楽旅行での演奏の話はよく知られている通り。宮廷音楽家としての日々、フリーの音楽家としての活動…。作品は交響曲からピアノ曲、宗教曲、オペラなど幅広く、現在でも人気のある曲を残している。
そして絶筆となったのがこの《レクイエム》である。
これは無署名の手紙で、匿名のままレクイエムの作曲をモーツァルトに依頼されたという。この頃、彼は体調を崩し、また貧困に悩まされていたという。作曲に取りかかったときは、オペラ「魔笛」の仕上げのころだったという。
しかし、病状は回復せず、「入祭文」「キリエ」は完成していたものの、「続誦」と「奉献文」の一部を未完のまま、1791年の冬、この世を去った。絶筆となったのは「ラクリモーザ」の8小節までだったという。
妻・コンスタンツェは未完のレクイエムを完成させるために、弟子のジェスマイヤー(1766〜1803)に託し、補筆の上、モーツァルト作として匿名の依頼主に渡された(この依頼主は、フランツ・ヴァルゼック・フォン・シュトゥバハ・伯爵だったという)。
この依頼主・ヴァルゼック伯爵は、これを自作として、1973年12月14日、亡妻の鎮魂のためとして初演した。ただ、スヴィーデン男爵のはからいで、妻・コンスタンツェのために1973年1月2日に、本当の初演を行ったという説もあるという。
今日、演奏されるのは、このジェスマイヤー版がほとんどであるが、彼の補筆には批判も多く晩年のモーツァルトの様式に合わせて新しい補筆をしている人もある。
曲の構成は、《入祭文(レクイエム)》《キリエ》《続誦(セクエンツィア)》《奉献文》《サンクトゥス》《ベネディクトゥス》《アニュス・デイ(神の子羊)》《聖体拝領誦》からなる。
第1曲《入祭文(レクイエム)》
悲しげなファゴットの旋律にのって前奏に続いて「レクイエム・エテルナム…」が歌われる。途中、転調を繰り返し、ソプラノ独唱をはさみながら、半終止(属和音での終止)となる。
第2曲《キリエ)》
「キリエ エレエイソン」「クリステ エレイソン」を大変激しく、絡み合うように歌い上げられます。対旋律による2重フーガによって書かれている。
第3曲《続誦(セクエンツィア)》
6つの部分からなる。
@ディエス・イレ(怒りの日)
大変劇的な部分。いきなり合唱とオーケストラが強く歌い出す。この世が滅亡する最後の審判の日を歌っている。
Aトゥーバ・ミルム(ラッパは驚くべき音を)
ゆったりとしたテンポで、トロンボーンによる冒頭部は審判の情景の始まり。バス独唱に始まり、4重唱となる。
Bレックス・トゥレメンデ(恐るべき御稜威(みいつ)輝く王よ)
コーラスの「レックス!レックス!(王よ!)」に始まり、神に救いを求める情景を歌う。
Cレコルダーレ(思い出して下さい、慈しみ深いイエス様)
ホモフォニー的な4重唱が続く。
Dコンフターティス(呪われた者は退けられて)
激しい男声合唱に続き優しい感じの女声合唱の応答に始まる。不安定な雰囲気を醸し出す曲。
Eラクリモーサ(涙に暮れる日)
ため息のような弦楽器の前奏に続き、悲しげな合唱が高まりを見せる。転調しながら劇的に終わる。モーツァルトの絶筆がこの曲の8小節だといわれている。
第4曲《奉献文》
@主イエズス
「ドミネ・イエズ クリステ」と快活な感じのコーラスに始まる。やがて模倣を繰り返し、フガートで終わる。
Aいけにえ
「ホスティアス…」とホモフォニックなコーラスが続く。最後は前曲のフガートが再現される。
第5曲《サンクトゥス》
いきなり「サンクトゥス!」と高らかに歌い出される。やはりホモフォニックに書かれている。
続いて「ベネディクトゥス」は、独唱者の4重唱。「ホザンナ…」からのフガートが再現される。
第6曲《アニュス・デイ(神の子羊)》
ホモフォニックなコーラスで「アニュス・デイ…」を繰り返し歌い上げる。
第7曲《聖体拝領誦》
第1曲目の《入祭文》の第19小節からと第2曲目の《キリエ》の部分に「聖体拝領誦」の典礼文を当てはめたもの。「ルックス エテルナ…」というテキストが共通することから、音楽的にも統一感を求め、「クム サンクティス トゥイス イン エテルナム」の2重フーガで全曲を閉じる。
アマチュア合唱団に所属していたとき、たまたまこの曲を歌う機会がありました。それまで「レクイエム」と名の付くものは、フォーレの「レクイエム」だけでした。同じラテン語のテキストでも、作曲者が違うとこう違うのか…と実感しました。。
この時代の宗教合唱曲がそうなのでしょうか、大変複雑な対位法で書かれている部分は、歌うにはとても大変でした。また「キリエ」や「クム サンクティス トゥイス イン エテルナム」の2重フーガは大変器楽的?なメロディで難しかった思い出があります。
「セクエンツィア」の中にある、「ラクリモーサ(涙の日)」が、やはり印象的です。モーツァルトの絶筆であるということを聴くとひとしおです。他のレクイエムの「ラクリモーサ」にも感動的なものが多いのですが、このモーツァルトのものが好きです。
また、モーツァルトを題材にした映画「アマデウス」の終わり頃のシーン。亡くなったモーツァルトの遺体を埋葬する場面で、この「ラクリモーサ」が使われていました。埋葬といっても、映画ではただ掘った穴に、遺体を投げ込むように描かれたいたと思いますが、その投げ込むところで、この曲の最後の「アーメン」になる…。この「アーメン」はとても鮮烈な印象でした。
補筆した、弟子のジェスマイヤー版で演奏されることが多いのですが、作曲理論上の初歩的な誤りがあるといい、指揮者によって演奏の場で訂正されることがあったといいます。20世紀後半から、ジェスマイヤー版の不備や誤りを直したり、モーツァルトの個人様式を研究したりした訂正版がいくつかあるといいます。
Sensho's Music Roomには、アーノンクール指揮の「バイヤー版」とヴァイル指揮の「ランドン版」がありましたので、ご紹介しました。他にもいろいろな版があるようです。<2003.1.1>