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| リムスキー=コルサコフ作曲 交響組曲《シェヘラザード》 Op.35(1888年) |
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| ●リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェヘラザード」 ●リムスキー=コルサコフ 「スペイン狂想曲」 シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団 ポリドール(LONDON) POCL−5037 |
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| ●リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェヘラザード」 ●リムスキー=コルサコフ 序曲「ロシアの復活祭」 小澤征爾指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 フィリップス PHCP−5322 |
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| ●リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェヘラザード」 ●ボロディン 交響詩「中央アジアの草原にて」 ●バラキレフ イスラメイ (S。リアプノフ編曲) キーロフ歌劇場管弦楽団 ワレリー・ゲルグエフ 指揮 フィリップス UCCP−1060 |
ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ(1844〜1908)は、ロシアの作曲家。ロシアの国民楽派で「5人組」(バラキレフ、ムソルグスキー、キュイ、ボロディン、リムスキー=コルサコフ)と呼ばれた作曲家の1人。代々海軍軍人の出た家系で、12歳でペテルブルクの海軍兵学校に入る。やがてピアノを学びはじめ、バラキレフに指導を受けることになった。これから作曲も増え、交響曲などの大きな管弦楽曲を書く。
そして海軍大尉の軍籍を持ちながら、ペテルブルク音楽院の作曲法、管弦楽法などの教授になる。そこで西欧の伝統的技法を学んだ一方で、海軍軍楽隊監督にも任命、管楽器の知識を習得した。以後、管弦楽曲のオーケストレーショ改訂をしたり、3大傑作「スペイン狂想曲」「シェヘラザード」「ロシアの復活祭」を書いたりする。
またオペラ作品では、ワーグナーの影響を受けたものを発表している。
なお、1905年の「血の日曜日事件」以後の革命騒動の中、ペテルブルク音楽院の機構改革の先頭に立ち、教授を罷免された。復職を果たしたものの、政治批判の傾向を持った作品もあったという。
また「5人組」では最年少であって、ボロディンの未完のオペラ「イーゴリ公」や、ムソルグスキーの「禿山の一夜」などの補筆、改訂を加えて世に送り出している。また「管弦楽法の大家」と」称えられる通り、数多くの弟子や影響を受けた作曲家が多い。例えば、バレエ「四季」のグラズノフ、「コーカサスの風景」のイッポリトフ=イヴァノフ、ピアノ協奏曲のアレンスキー、バレエ「春の祭典」「火の鳥」「ペトルーシュカ」のストラヴィンスキー、またイタリアからはローマ三部作のレスピーギが教えを受けている。それに和声法や管弦楽法の著書もある。
この交響組曲「シェヘラザード」は、彼の最も円熟した時期の管弦楽曲。題材は、アラビアンナイトである。サルタン(王)であるシャリアールは、女性を信じられなくなり、毎晩のように娘を迎えては翌朝必ず首をはねるという暴君になってしまった。ところが、ある大臣の娘・シェヘラザードはシャリアールの興味をそそる話を聴かせ、続きを聴きたいがために翌朝になっても殺そうとはしなくなった。そうして千一夜にも続いた物語を聴くことで、かの暴君もシェヘラザードを愛し、シャリアール王は名君になったという。
その中で、特に関連は持たないが、4つのエピソードをもとに作られた。《海とシンドバッドの船》《カレンダー王の物語》《若い王子と王女》《バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲》というネーミングの4つの楽章からなる。
第1楽章《海とシンドバッドの船》
ホ短調。力強いユニゾンはシャリアール王のテーマ、ハープ伴奏のソロヴァイオリンがシェヘラザードのテーマを示す。やがてうねるような海の様子をよく表す音型にのって、海の主題、船の主題を歌い上げる。シャリアール王とシェヘラザード王妃の主題が絡み合い、高められる堂々たる楽章である。
第2曲《カレンダー王の物語》
カレンダーとは諸国行脚の苦行僧のことであるが、ここでは「アラビアンナイト」の中の、どの話をさしているのかは分からない。やはりシェヘラザードの主題に始まり、ファゴットによる3/8拍子のメロディがカレンダー王の主題を奏でる。その後、中間ではトロンボーンやトランペットの力強い響きが鳴り渡る。そしてさまざまな主題が絡み合い、力強く激しく終わる。
第3曲《若い王子と王女》
ト長調の叙情的な出だしは、王子と王女が語り合っているような気分。そして独特な小太鼓のリズムに乗ってクラリネットが舞曲風な王女のテーマを奏する。。またシェヘラザードのテーマを挟みながら、静かにやさしく終わる。
第4曲《バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲》
1楽章のシャリアール王のテーマをテンポを上げて始め、シェヘラザードのテーマがそれを受けるところから始まる。そしてバグダッドの「祭り」のテーマを2/8拍子で激しく奏で、6/16拍子の力強いフレーズを挟んで、曲を盛り上げる。そこは音量を上げ、荒れ狂う波に呑まれる船の難破の場面、そして静かに波が引くように静かになるあたりは見事な描写である。そして「海」の主題を静かに再現、ソロヴァイオリンのシェヘラザードのテーマを奏して、静かに曲を閉じる。
ソロヴァイオリンを用いるのは前作の「スペイン狂想曲」と似ている。これはリムスキー=コルサコフがヴァイオリンに関心を示し、きっかけとなったようだ。
この曲はやはりエキゾチックな雰囲気を漂わせています。題材がアラビアンナイトであるということからしてもそうなのですが、音楽を聴いてもそれがうかがえます。
しっとりとした情緒の中、語り部・シェヘラザード王妃が千一夜の物語を語るのを、ライトモチーフ的に独奏ヴァイオリンで示して進んでいくあたり、何ともいえないムードがあります。
この曲はどこをとっても印象的。力強さ、優しさ、東洋風な雰囲気、リアルな描写…長い曲ではありますが、無駄なく色彩的なサウンドがちりばめられています。
またほんのわずかなモチーフやフレーズが心に染み渡り、病みつきにさえなります。
「管弦楽法の大家」といわれるだけあって、このオーケストラの響きは、何かしら情景を思い浮かべながら聴き入ってしまいます。
<2003.1.9>