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| ヴェルディ作曲 《レクイエム》 |
ジュゼッペ・ヴェルディ(1813〜1901)は、イタリア生まれの作曲家。「椿姫」「アイーダ」などといった名作オペラを残す作曲家として知られ、19世紀後半のイタリア・ロマン派オペラの頂点を確立した。
7歳のころから、近くの教会のオルガン奏者に師事した後、ブッセート楽友協会の仕事をしながら、F.プロヴェジに本格的に音楽の指導を受けた。またミラノ音楽院で勉強しようとするもののピアノの不十分さから入学できなかったというが、スカラ座のV.ラヴィニャにソルフェージュを師事。やがてブッセートへ帰り、音楽監督となる。その後、スカラ座での委嘱の仕事をこなし、やがて作品が高く評価され、オペラ作曲家の立場をゆるぎないものになっていく。
生涯に26曲のオペラを残したヴェルディであるが、宗教音楽もいくつか残している。
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| ●ヴェルディ 「レクイエム」 バイエルン放送合唱団 バイエルン放送交響楽団 サー・コリン・デイヴィス指揮 ビクター BVCC-3047-48 |
この「レクイエム」は当初、イタリアオペラの先駆者・ロッシーニの死を悼み、ロッシーニの流れをくむ作曲家の連作の「レクイエム」を企画した。1868年、ヴェルディ自身は「リベラ・メ」を作曲したが、結局この計画が頓挫してしまった。
一方、当代随一の文豪・マンツォーニとの交流があり、ヴェルディは彼を尊敬した。しかし、1873年のマンツォーニの死のニュースを聞くと悲嘆にくれたが、翌1874年に、彼の1周忌を行うにあたり、ミラノ市長に「レクイエム」を捧げたいと申し出たといい、かつてロッシーニのために作った「リベラ・メ」を再び持ち出し、「レクイエム」を完成させた。
初演は1874年、故マンツォーニの一周忌に、スカラ座の管弦楽と合唱団の選抜メンバーのよって行われた。
曲の構成は、《レクイエム(入祭文)とキリエ》《ディエス・イレ(怒りの日)》《奉献文》《サンクトゥス(聖なるかな)》《アニュス・デイ(神の子羊)》《聖体拝領誦》《リベラ・メ(我を許し給え)》からなる。
第1曲《レクイエム(入祭文)とキリエ》
イ短調、チェロの悲しげな序奏に、つぶやくような「レクイエム」の合唱が続く。途中長調に転調してア・カペラのフガートが展開される。やがてテノールから独唱で「キリエ」の部分になり、イ長調で終わる。
第2曲《ディエス・イレ(怒りの日)》
9つの部分からなる。
@怒りの日
大変激しいトゥッティに始まり、合唱が「ディエス・イレ!」を絶叫、嵐のように歌い上げる。
Aくすしきラッパの音
「最後の審判」のラッパのファンファーレの後、また嵐のようなコーラス、やがてバスの独唱が静かに「モルス(死)」を繰り返す。
B書き記されし書物は
メッゾ・ソプラノの独唱に始まる。やがて合唱の「ディエス・イレ」が繰り返される。
Cあわれなる我
ファゴットの印象的な序奏に続いて、メッゾ・ソプラノ、ソプラノ、テノールの3重唱となる。
D御稜威(みいつ)の大王
3重唱の後、男声四部合唱が絶叫する。
E思い給え
メッゾ・ソプラノとソプラノの流れるような2重唱。
F我は嘆く
テノールの独唱。アリアのような劇的な歌。
G呪われし者は
バスの独唱。やはりアリアのように力強く歌われる。
H涙の日
大変悲しげに「ラクリモーサ」の合唱。作曲者自身涙ながらに作ったという。
最後は、ト長調で「アーメン」を歌い、曲を閉じる。
第3曲《奉献文)》
メッゾ・ソプラノとテノールの2重唱。さらにバスが加わって3重唱となる。そしてソプラノが加わって四重唱でカノン風に歌われた後、「ホスティアス」になる。
第4曲《サンクトゥス(聖なるかな)》
強烈なトランペットの後、2つの合唱団に分かれ、「サンクトゥス!サンクトゥス!サンクトゥス!」を絶叫した後、8声のフーガとなる。最後は「ホザンナ…」で終わる。
第5曲《アニュス・デイ(神の子羊)》
ソプラノ、メッゾ・ソプラノのオクターブの重唱「アニュス・デイ」が静かに歌われると、やがて合唱が静かに歌い上げる。
第6曲《聖体拝領誦》
「ルクス・エテルナ」を4重唱で歌い上げる。途中のメッゾ・ソプラノの独唱はとても印象的。終結部がまた美しい。
第7曲《リベラ・メ(我を許し給え)》
ソプラノ独唱の「リベラ・メ」が激しく歌われると、合唱もそれに応答する。途中、第2曲目の「ディエス・イレ」の「怒りの日」が再現される。やがて第1曲目の《入祭文》のメロディをソプラノが歌うと、壮大なフーガとなって、最後は静かに「リベラ・メ」を2回繰り返して、全曲を閉じる。
ハンス・フォン・ビューローが「これは宗教音楽の衣装をまとったヴェルディの最新のオペラにすぎない」と非難したことに対して、ブラームスが逆にハンス・フォン・ビューローを批判して「これこそ天才の作品である」と述べたと言います。わたくしは結構(…いやかなり)お気に入りです。
この曲については、宗教合唱曲に若干興味を持ったころ、やはりFMラジオでNHK交響楽団のライヴ放送を聴いたのが初めてでした。
やはりフォーレのレクイエムを聴いた直後でしたので、こういう表現もあるんだ…といった感想でした。
第1曲目のイ短調から始まって、急に光が差し込むように同主長調への転調するところなんか、カッコイイですね。
そして第2曲目の「ディエス・イレ」のコーラスの前の短い序奏もいいですが、同じ形を繰り返すときの大太鼓の強打!これがなかなか強烈です。考えてみれば大太鼓のソロです。迫力あります。
終わり頃の「ラクリモーサ(涙の日)」も印象的です。モーツァルトの有名な絶筆も感動的ですが、こちらの「ラクリモーサ」も泣かせるメロディです。
第4曲の「サンクトゥス」は、四部合唱が2つに分かれての8声のフーガとなりますので、ちょっと一般のアマチュア合唱団ではなかなか難しいですね。
最後の「リベラ・メ」は静かに、本当に静かにこの長いレクイエムを終わらせるのに、しみじみと「リベラ・メ」…と歌われます。<2003.1.1>