7:00起床。汽車のサイレンが鳴るたびに起きてしまうし、蒸し暑かったので良く眠る事が出来なかった。寝ぼけながらキッチンへ行くとYoukoさん達は朝食の最中だった。
自分も食パンを食べ、外に行ってからコーヒーを飲み、タバコに火をつけた。
「今日はついにモニュメントバレーだ。」片道180マイル…う〜ん。寝不足もあって、少し辛くなってきた。しかしここに行かなければ本当に後悔してしまいそうな気がする。せっかくマスタングがあってFlagstaffにいるのに行かないでどうする!?
9:00に出発。地図と水さえあればどこへでも行ってやる!と思い込んだ。
ガソリンを入れて、US89を北上、砂漠が続く。途中タンデムの自転車が何台か自分と同じ方向に向かって走っていた。「モニュメントバレーに行くのだろうか?」US89を右折し、US160に入る。Kayentaの手前左側に壮大なレッドロックが見える。平坦になっている丘の上に数匹の羊たちがいた。羊が小さく見えたのでこのレッドロックは相当でかいのだろうということが分かった。
12時過ぎ、Kayentaに到着。ショッピングセンターやらビジターセンター、ファーストフード等が固まって建っている。バーガーキングで昼飯にしたがあまり美味しくなかった。3時間のドライブだったのでここで少し休憩することにした。ビジターセンターでモニュメントバレーへの行き方を教えてもらい、地図ももらった。ここから19マイルで着くらしい。
マスタングを走らせ、5分位経った頃から少しずつ岩が見えてきた。あまりの景色の良さに思わず停まってしまった。後ろに走っていた車も同じ所で停まってビデオを撮っている。しばらく見とれていると、先に後ろの車が走り出したので手を振って見送った。停まりたい所はたくさんあったがTaosと一緒で、やはり公園のある所が一番の見所だろう。
ゲート手前に、インディアンマーケットがある。そこを抜けると公園だが入り口にゲートがあり、一人一週間で$3と書いてある。Grand Canyonよりかなり安いではないか!
ゲートから駐車場まではすぐに着いた。グランドキャニオンとは違い、随分シンプルである。駐車場に停めると絶叫してしまった!当たり前だが、映画やテレビに出てくるのと「形」は全く同じだった。しかし、肉眼で見るともっと凄いのだ。たくさんカメラに撮ったが、おそらく完全に収める事は出来ないだろう。
熱い、凄く熱い。焼けるように熱いのだ。「暑い」ではなくて「熱い」という表現の方がここには似合う。砂をさわってみたら、赤くてさらさらしている。粒子が非常に細かいので水を混ぜると絵の具にでもなりそうだ。まさに砂漠だ!石も真っ赤に焼けている。
駐車場の脇にビジターセンターがあるので入ってみると、クーラーが効いていてかなり涼しかった。体を冷やしてからもう一度外に出てみた。ここに来た記念として大きい岩に自分の名前を彫ってみた。落ちてあった釘で彫ったのだが、岩が硬くて深くは彫ることが出来なかった。砂はさらさらしているのでさわっていると気持ちよく、赤い石ころは強く握っているとボロボロと崩れた。
砂をかき集めていると、アリの巣らしきものが至る所にあるのを発見した。「こんなに熱いところで生活出来るなんて!」夢中になって砂をかき集めていると、頭がクラッときた。水を飲もうと思ったのだが、リュックの中に入れておいたペットボトルの中の水は、すでにお湯になっていた。ノドが乾いているので冷たい水を飲みたいのだが、ビジターセンターに売っている水は少し値段が高かった。我慢してその「お湯」を飲んでみると、これがまた美味いのだ。
このビジターセンターのあるパーキングから、モニュメントバレーの岩に近づく事の出来る道が造られているが、石だらけのすぐパンクしそうな道だ。四輪駆動の車なら問題なく行く事が出来そうだが、マスタングではちょっと怖い。誰もいない所でパンク等しようものなら死にそうな所なのでやめておいた。
いつまでもここに居たい気分だったが、太陽が沈まないうちに帰らなければ。マスタングの中は手を入れただけで熱く、まるでオーブントースターの様になっていた。
US160を戻る。ガソリンが無いので給油したいのだが、公園の近くなので$1.7と値段が高かった。$6だけ給油してまた走る。ガス屋さんではめずらしく、そこのお姉さんは凄く愛想が良かった。田舎だからだろうか?ロスからここまでで、3000マイルを超えてしまった。キロにしてみるとだいたい4800キロだ。
US89を南下し、砂漠とレッドロックを走りぬけて途中、来るときに見つけておいたカッコいい酒屋さんで停まって、写真を撮らせてもらった。この辺ではごく普通の酒屋さんなのだろう。インディアンとカウボーイのお客が来ていた。
Flagstaffのユースに戻ったのは7時頃だった。
シャワーからあがると日本人っぽい男の人がいたので「こんにちは」と声を掛けたところ「Pardon?」と言われ、「日本人ではありません。コリアンです。」と日本語で言われた。
別に話す事も無かったので挨拶だけして、その場で別れた。
洗濯機があるので溜まっていた洗濯物を投げ込んで洗っていると、誰かが話し掛けてきた。
日本人の様だが…この人もコリアンだった。ライターを貸してくれという。「いいよ」と言って貸してあげると、「こっちへ来い」と言う。「何だ?」と思いつつも、付いて行った。
そこはユースの庭のような所でテーブルが3つあり、真ん中のテーブルで4人のコリアンと1人の日本人がビールを飲んで、パーティーをしていた。この日本人、名はDaikiという。そしてコリアンの中の1人に先ほど「こんにちは」と声を掛けた人もいた。
Daikiも自分と同じ様に「連れてこられた」って感じだった。しかしこのコリアン達はとても優しそうで、雰囲気も楽しそうな感じだったので洗濯が終わるまで付き合わせてもらう事にした。
右隣にいたのはJoungという柔道のチャンピオンだそうで、体が大きい奴だ。みんな英語で話をしているが、同じアジア系だからなのか日本人と英会話するような感覚で、とても気持ちが通じやすい。自分もそうだがJoungも英語が苦手らしく何度も隣の奴に教えてもらいながら話していた。なかなか面白い奴だ。
左隣のLeeが自分に「興味がある」、「好きだ」と冗談っぽく言ってきた。顔は笑っているが目つきがヤバく、ホモっぽい匂いがする。自分は「俺はホモじゃない」と真剣だが、笑顔で訴えてやった。
コリアンの4人のうちLeeを除く3人が友達どうしでアメリカ旅行に来ていて、LeeはGrand Canyonでアルバイトしているそうだ。
自分もJoungにビールをもらい、全員で「カンパイ」した。自分はキムチとビビンバ、映画の「シュリ」が好きだ、と言うとみんな大喜びだった。
Joungは漫画のドラゴンボールとスラムダンク、日本人の女の子が好きだと言った。盛り上がりすぎて大騒ぎになってしまい、隣にある部屋の人が迷惑そうな顔で見ていたので場所を変えた。キッチンにDaikiと二人でいるとJoungが「ちょっと待ってて」と言うので「何だ?」と思い待っているとJoungが戻ってきて、自分達2人にキーホルダーをくれた。コリアン着物とコリアン帽子をかたどったキーホルダーだった。自分は着物をもらった。「なんていい奴なんだ!」
まだ飲むと言って誘ってくれるが、自分は少し疲れていたので洗い終わった洗濯物をマスタングのトランクに入れて、ロビーにあるソファーにくつろいだ。
すると何故かすぐにあのホモっぽいLeeが来て自分のすぐ横に座り、話し掛けてきた。何の話をしたのかは忘れたが、どうもだんだんと自分の方に擦り寄って来るようで嫌な感じだ。そのうえ口の中で飴をコロコロと転がしながら喋るので気持ち悪く、身を引いてしまった。予感は的中したのか?30分くらいのやり取りのあと、避けられているのが伝わったのか「眠い」と言って部屋に帰ってくれた。
建物内は禁煙なので外に出てタバコを吸っていると、New Yorkから来た男が話し掛けてきた。「車をとばして、3日でここまでたどり着いた」と自慢げに言っている。「マジかよ。お前、頭イカレてんじゃねぇか?」と言ってあげると、嬉しそうに「ハッハー、疲れた!」と笑っているが、本当に疲れた顔をしている。
1時頃に自分の部屋に帰り、2段ベッドの2段目にある自分のベッドに入ろうとすると、自分のベッドの下に寝ていたおっさんが「ウッ!」と言いながら飛び起きた。
悪い事をしてしまった。
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