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キーウェスト島一泊目のホテルは、島に入ってすぐの場所にあった。小さな島だが後で考えると観光にはいささか不便な場所である。外国映画でよく観るモーテルに毛の生えたようなホテルで、ロビーは綺麗だが廊下に面した大きな窓にかかるカーテンは、きっちり端まで閉まらないという部屋。
マイアミから途中、休憩をして、到着まで4〜5時間だったと思う。旅行会社に送迎を頼んだことを激しく後悔しつつ、次回は必ず公共のバスで橋を渡ろうと決意させるには十分な時間だ。恐ろしく古いギャグで長く日本に帰っていないんだな〜と思わせる日本人ガイドの運転するワゴン車には、オプションでキーウェスト日帰り観光という、私には信じられない感覚の家族が乗っていたのだ。だがそんな人々ともここでお別れ、着いたからにはじっとしていてはもったいない。私と友人は早速フロントで自転車を借りて、ヘミングウェイの家を探しに出かけた。
とにかく小さい島だということは分かっていたので、もらった地図を頼りに適当に自転車を走らせた。途中、ただでさえ上手くない自転車の、しかもブレーキ無し(!)前かごずっしり荷物によろけ、通行人に思い切りぶつかってしまったりしながらも、なんとか目的地に到着した。
レンガの低い塀に囲まれた、思ったよりはこじんまりとした館だった。ただそう思うのは今になって思い出して言ってるからであって、そこへ到着した時のパニック寸前の心境は、上手く言い表せない。
とにかく「来たー!」という気持ちに突き動かされ、カメラのシャッターを押しまくる。何本使ったのか覚えていない。
さらりと見ては去ってゆく一般観光客とは、そもそも旅の計画からの思い入れが違うのだった。 |
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