@インド バグスー村(2)

「ねぇ、彼がどれだけ私の前で綺麗だったかあなたに解る?彼は本当に最高だった。忘れられる訳が無い」

 

「元・旅人」であった彼女は、私のルームメートの1人であるオーストリア人青年と出会った。そして2人は限りある時間をギリギリまで共有した。だけど、彼はある日、彼女に黙って何処かへ消えてしまった。

 

私が渡した一枚の写真。彼女は泣きはらした眼で、だけどこの上なく愛に満ちた眼で「彼」を見つめてそう言った。

 

彼だけではない。

ルームメートだった私達だって同じだった。

彼女のような「見送る側の人間」にまわる勇気なんて少なくとも今はまだ無かった。

 

彼女はもうイスラエルに帰ることは無い。

大きなリスクを背負ってまでの彼女の選択、その意味を私は今も追い続けている。