ある日、中国人の博士研究員が部屋に戻ってくるなりこう言った。
「こんな所ではもう研究はできない!」
自分より研究能力の劣っていると思っていたオランダ人が、自分達のグループで研究のマネージメントができるポジションを取ったのが気に入らなかったらしい。確かに、その中国人の研究能力は非常に高いと思う。そして、言い訳のように、彼はこう付け加えた。
「僕はオランダ人じゃないからなあ。」
彼はオランダ語もそんなには話さないし、その時は、しょうがないと思った。
別の日、スペイン人が言った。「例えばの話で、僕がここで働いていけると思う?」彼は、ここでの研究もうまくいっていたし、オランダ語もそこそこ話す。オランダの文化にも十分溶け込んでいる。僕から見たら同じヨーロッパ人だ。なので、あまり考えずに「問題ないんじゃない。」と答えた。しかし「自信がない。」と言うのだ。そのスペイン人は、大柄で、普段の会話からも、とても「自信がない」なんてことを言うタイプの人間ではないと思っていた。しかし「自信がない」と言うのだ。そして言った。
「僕はオランダ人じゃないから。」
彼らの感覚では、ヨーロッパ人という分類は大きな意味をもたないかもしれない。
(つづく)
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