新ショートコラム〜オリンピック(3)〜驚き
 スキージャンプのラージヒルは、ノーマルヒルと同じく、ドイツZDFで見た。きっとドイツ国民も、今日こそはジャンプ週間のジンクスでハンナバルトが勝つと思っていただろう。ジャンプ週間のジンクスとは、オリンピック直前に行われたW杯ジャンプの4連戦での総合勝者が、オリンピックジャンプの金メダルを取ると言うものだ。4年前、長野の直前も、日本の船木がジャンプ週間の総合勝者になり、オリンピックでもラージヒルで金メダルを取った。ハンナバルトは、そのジャンプ週間の4連戦を、史上初めて、4連勝で総合勝者になったのだ。

 しかし、この日もハンナバルトはスイスのアマンに勝てなかった。距離を少しでも延ばすために粘ったのであろう、着地も失敗し、メダルにも届かなかった。ドイツのコーチの落胆した表情が印象的であった。

 僕が驚いたのはここからだった。ハンナバルトの順位が確定し、競技終了から1分もしないうちに、画面が切り替わったのだ。日本人の感覚だと負けても、解説者の説明やVTRによる再現、そして、順位の確認などがあるはずだ。しかし、それらすべてを吹き飛ばして画面が変わったのだ。場面は、バイアスロン終盤、ドイツ選手が優勝しそうな所であった。その選手はそのまま逃げ切って金メダルを獲得した。

 ハンナバルトが金メダルだったら、きっと彼のインタビューとかもあったに違いない。しかも、ハンナバルトは1回目終了時には首位だったのだ。非情なほどすばやいZDFの対応と、期待選手が失敗しても活躍する選手がいるドイツ選手団の層の厚さ、どちらも驚きだった。

(つづく)