ホ−ムスティ・ホストマザーのこと。



ホストマザ−のベニ−スは、サバサバしたタイプで、どちらかというとプライベートに関しては放任主義だったが、ホストファミリーとしての自覚はしっかりとある人で、間違った英語を使っていると、決して嘲ることなく、根気良くその都度間違いを直してくれた。

おもしろいことにホームステイ中に引越しがあった。もともと、「Carlton」という所だったのだが、その後「Rockdale」という所に移ったのである。新しい家はベッドルームもひとつ増え、バスルームも二つあったし、裏にはコートヤードが広がるといった素敵な家であった。そして家の目の前には広い公園があった。

その公園にはブランコがあったのだが、日本のブランコとはちょっと形が変わっていた。私の頭の中でのブランコは座るところが板で平らになっているものが浮かぶのだが、その公園にあったブランコは座るところがU字になっていたのである。それをつたない英語でベニースに伝えようとしたら、いつの間にやら、ブランコに乗ったことがないということで、彼女に伝わってしまった。

  すると彼女は言った。
“You should try! ”
違うのだが、違うと言って説明するのが面倒だった私は、ついつい引きつり笑いで、言ってしまった。
“I will.”

ある日、試験期間中で週末家にいると、ベニースから気分転換に目の前の公園でも散歩して、ブランコにでものってきたらどうだと提案があった。なるほど、散歩もいいかなと思い外にでた。もちろん、ブランコにはさすがにのる気はなかった。すでに夕暮れだったのだが、てくてく歩いていると、ブランコの前にやってきた。あたりを見回すと誰もいない。…のってみようかな。誰もいないのを確かめて、さささっとブランコにのってみた。3漕ぎぐらいでおりた。
何やってんだろ…。(苦笑)

そんなベニースが一度だけ、自分の話をしたことがあった。昔、離婚をしたことによって、精神的に強い人間になろうと思ったこと、何でも自分でできるようにしようと思ったことなど。彼女のパーソナルな話を聞くのは初めてだった。でも実際、彼女はなんでも自分でやっていた。新しい家に移った時に、カーテンは自分で縫っていたし、ちょっとしたペンキなども自分で塗っていた。強がった言葉の裏に見え隠れした、ちょっと淋しげな表情が心に残った。

ホームステイが終わる1週間前くらいに、ベニースに
「だいぶ私の言っていることが分かるようになったわね。」
と言われた。
そう言われてみれば、来た当初に比べ会話量も増え、ちょっとした会話をしている。
「私は、初めの一週間目はすごくゆっくり話し、次の週からはスピードをちょっとづつあげていってるのよ。今は普通の速度で話しているのよ。話についていけるようになったわね。」

ホームステイというよりも下宿屋さんといった感じだったけど、ホームステイ先がベニースのところでホントによかったと思っている。はじめに当たり、外れがあるなら当たりがいいと思っていたけど、大当たりだった。私の英語が一番伸びた時期はこの6週間だろう。(それから私の英語力は停滞したまま−爆)

最近、すっかりご無沙汰となってしまったベニースに、今年はクリスマスカードでも送ろうかなどと、すっかり昔を懐かしんでしまった次第である。


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