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小学生のとき、数を「一、十、百、千、万・・・」と言って無量大数まで数えるのがクラスでブームになったことがあります(なんちゅーつまらないことを面白がってたんだろう、と、今になって思うけど、昔の小学生はヒマだったんだね)。でも、英語だと、ミリオン、ビリオン、トリリオンくらいで終わってしまうので、こういうことはできません。日本語っていうのはこういうことには結構長けてる言語なんじゃないでしょうか?
で、一番ややこしいのはフランス語だと思うんですね。たとえば、70という言葉は日本語では「なな−じゅう」であり、英語だと「seven-ty」で、いずれも7×10なんですが、フランス語だと「soixante-dix」で、これは60+10、もっと正確にいうと、6×10+10なんです。80になると「quatre-vingts」すなわち4×20、さらに97というのであれば、quatre-vingts-dix-sept」(4×20+10+7)というんですよ。ちなみに英語だと「ninety-seven」ですね。
アメリカ人が「そういう発想をしてるからフランス人は数学ができないんだ」と言っているのを聞いたことがありますが、当のフランス人に「なんで、あんたたちはそういうわけのわからない発想をするんだ」と尋ねると、「えー、だってそういうもんだと思ってたもん」とのこと。英語と対照して「ほら、あんたたちの言語は長ったらしいじゃん」と書いてみせると「あー、そういわれてみればほんとだー」だと。まあ、potato(じゃがいも)を長ったらしくもpomme-de-terreと称する国の人たちですから、あまり気にならないのかも・・・。
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日本語の文法というのは普段なにげなく使っているものを再認識する上で面白いと思う。ある時、高橋源一郎がテレビでコギャルが「超来た」と言っているのをさして、「はて”超”という副詞は動詞にかかるのかな?」と書いているんですが、それを読んで「そうか、”超”は副詞だったのか!」。感動しました(といっても、この感動がわからない人間も世の中には多かろう・・・)。
この前、「正しい”です”の用法」という掲示板を見つけて、面白そうだったので参加しました。このテーマは「綺麗です」「大変です」というのは文法的に正しいけれど、「美しいです」「正しいです」は違和感があるのはなぜだろう、ということなんですね。結構、日本語文法に詳しい方が集まっておられました。私は「”綺麗”とか”大変”というのは名詞だから”です”で受けるけれど、”美しい”とか”正しい”という形容詞は本来”ございます”で受けるものなんじゃないか」と、言いましたら、「”綺麗”は名詞ではなくて形容動詞ではないか」とつっこまれまして・・・。というのは「な」をつけて「綺麗な」「大変な」というと、これは形容詞になってしまうからだというんですね。でも、「な」は助詞であって、活用形ではないし・・・活用しないものは「動詞」といわないんではないかしらん・・・?そこで、教えていただいたのが「形容動詞の存在自体、あるのかどうかよくわかっていないのだ」ということでした。定説になってないんだそうで、なかなか決着には至らなかったんですが、それでも十分お勉強させてもらいました。
そもそも日本語にはやまとことばと漢語がありまして、ここで漢語の扱いが結構ややこしいんですね。「運動」という漢語は「する」という動詞を伴って動詞句を作りますが、「運動」自体は名詞です。「大変です」「綺麗です」は大丈夫なのに「美しいです」「苦しいです」が文法的に不適切なのは、後者はシク活用をする形容詞だから。で、わたし的には「大変」「綺麗」は「で」を伴って形容詞句を作る名詞だと思ってたんですが、これを形容動詞とする説もあるらしいです。とりあえず、これら漢語は漢語としての独特の用法があることはわかるんですが・・・。
・・・とまあ、こんな話がお好きな方は、井上ひさしの「私家版日本語文法」がお勧めです。(なにをつまらないことを言ってるんだ、という野次が聞こえてくるような気がする・・・)
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日本では戦争のときに英語の使用を禁止したり、「鬼畜米英」とかいって反米、反英感情を煽ったりしてたようで、中学の歴史のときに先生が「こういう馬鹿なことをするのは日本だけです」といってました。ところが、アメリカに留学中、ドイツ系アメリカ人の歴史の先生のクラスを取ったら、言ってました。「世界大戦のときは”ハンバーガー”は敵性語だから禁止されてたんだってよ」で、なんていってたかというとLiberty Sandwichなんだそうで、聞いて思わず吹き出してしまいました。これじゃ、日本軍を笑えないじゃないですか。
そういえば、英語ではオランダ人はよく悪者になってます。Let's go Dutchというしけた言葉は「割り勘」のことですし、もっと有名なのはDutch wifeでしょうが、話によるとイギリスと戦争したときに(英蘭戦争)はやった言葉ということなんですが・・・。
どうも、こういうのは日本に限ったことではないらしいです。知人のフランス人は、フランスがついたヘンな英語のリストを見せてくれたことがありますが、French letter, French fry, French kiss など・・・本人たちが聞くとヘンな感じがするとか。これは・・・まさか百年戦争の結果?
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通訳、翻訳をやってる人の間で「あの訳はまずいよねえ・・・」という話が時々流れてくるんですが、一番すごいなーと思ったのはミュージカル「オペラ座の怪人」。ミュージカルファンの話を聞いても、せりふと歌が合ってないという話がありました。訳としてもまずいし、日本語のオリジナルせりふと考えてもまずい、奇妙な作品です。
ストーリーはオペラ歌手のクリスティーヌに恋をする醜い怪人が、彼女の恋人のラウルから彼女を奪い取ろうとする、ということなんですが、このクリスティーヌ、原語(原作はフランス語なんですが、ミュージカル台本は英語)ではかなり大人の女性に描かれているんです。たとえば、自分の父親のことはDad, Daddy, Papaのいずれでもなく「Father」(父)という表現を使っているのに、日本語版ではこれが全部「パパ」になっているので、ファザコンの幼稚な「女の子」みたいな印象になってきてニュアンスが変わってくるんです。しかも、ラウルのせりふも確かに「Let me guide you」みたいなのはあるんですが、「僕の言うとおり」とかやたら偉そうなんですけど、これって訳者の男女観なんじゃ・・・。
歌の翻訳は難しくて、あちこち削ったり、創作する人もいるのは確かなんですが、あまりにも創作が激しいと、原作の風味が失われてしまうのは確か。シチューをつくるのに玉ねぎがないからセロリを入れましょう、みたいなもので、どうも怪しくなっちゃいます。原作とは別物と思った方がいいですね。
こういうの、時々見られます。外国映画を見てると、せりふと字幕がぜんぜん違うことをいっていることも少なくないですから。
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