盗難
その2
それはとても暑い日。
私が公園の芝生で靴を脱いでくつろいでいる時「ココは危ないから一緒にカ
フェに行こう」と言ってきたイタリア人(フランス料理シェフ)。その人の方
がよっぽど怪しかった。
よく見ると、スーパーの袋を持っていたので、中を覗くと歯痛止めとエヴィ
アンが入っていた。親知らずが痛いらしい。オモシロそうだったので、カフェ
に行くことにした。
そして、何故か、またもとの危ない公園に戻ってビールを飲みながら、
お互いの家族構成が同じなことや、年齢も同じ事から話しがはずんでしまった。
その間、全然気付かないうちにシェフの財布がなくなっていた。
大きいので、芝生の上に置いておいたらしい。
2人でアチコチ探しても、あるわけがなく、警察に行くことにした。
警察では何もしてくれないどころか、話しがもめた末には「早く出てけ!」と
言う態度。(シェフとポリスの会話が全然わからなかったので、どうしてそん
な態度をとられたのかは分からないけど)
シェフは財布を盗まれてしまったことや、ポリスの冷たい態度などから、急
に泣き出してしまった。
頬は震えて、目からボロボロ涙。おまけに歯痛止めの薬を飲んでたせいか、汗
もボタボタ地面に落ちた。そんなシェフを置いてホテルに帰ることはできず、
何とか慰めなくては。と思い、私のマルセイユ盗難話しをすると、少しは楽に
なったのか、笑顔が戻った。
盗難って、引ったくりとかかと思っていたけど、私の出会った2件の盗難は
どちらも気付かないうち。
貴重品は絶対に目からも手からも離しちゃいけない。身をもって体験してしま
いました。
泣いてるシェフの横で
太極拳する人達。