第三章凹額の物語



張某某 31歳乞食デビュー

 張の額にはまるで月面クレーターのような凹みがあります。それは本当に大きく深くクルミが一つ丸々入らんか程の大きさです。

「その傷どうしたの?」

 その傷を見た人間は必ずそう聞きますが、張はいつも答えません。 しかし中には鋭い人間もいたもので

「お前、それ電車だろ?」

と、聞いてきます。 そういう時は誤魔化しが利かないので 「そうだ」 と答えます。

  彼は聞かれるたびにあの恐らく一生忘れることの出来ない月のない夜を思い出す・・・あの月のない夜 周りには明かりは一つもなく、危ないかな? 等と思いながらも電車を捕まえに行った。 駅のホームの端(勿論ホームの端)で電車が発車するのを暗闇の中待っていると、ようやく貨物が発車したので飛び乗ったのと同時に対向線路から凄い勢いで電車が走ってきた、やばい!!と、思ったと同時に電車がすれ違った。 張は電車がすれ違いざまに起こす突風に煽られ、バランスを崩してしまい変な体勢で自分を堪えることとなってしまった・・・下手に体勢を戻そうとすると車両と車両の間に落ちてしまい車輪で轢かれてしまうのでしょうがなく車両から飛び降りることにした。 しかし飛び降りてみると予想していたよりも凄まじい反作用により線路を転げ回ってしまい線路に落ちていた大きな石で額を激打し、額に大きな火山口を作ってhしまったのだ・・・

 額のことも自分が乞食になったのも元はと言えば全て自分の妻が悪いのだ、と彼は言う。 全ての始まりは彼の妻に対する不信感から始まった。 ある日彼が家に帰ると妻が隣の隣人Wと仲良さそうに話しているのを見た、彼は家で妻が帰ってくるのをジッと待っていて帰ってくると同時に妻に詰め寄った!!!

「おまえ!!何で隣の奴と仲良くする!?」
「何よ?いきなり?」
「あんなに仲良くして!!あいつはお前の不倫相手だろう!!!」
「あんた、馬鹿じゃない? 普通のお隣さんでしょ!!」
「違う不倫相手だ!!!」


 こんな喧嘩は実は始めてではなかった、張の嫉妬心は普通のレベルを超えており妻が異性と話をするのを見かけるだけで喧嘩を始める。 もはや妻も我慢の限度を超えてしまい遠慮するのを止めた・・・
 次の日から妻は夫の目の前でワザと隣人に話しかけ夫を怒らせることにした。 超の怒り方は日に日に激しくなり、ついに暴れだし家中の物を全て破壊し妻を殴りつけた・・・そして妻は家を出てしまい実家に帰り、張は自分の家に帰るのを止め乞食になった。