第一章王某某の物語
王某某 16歳乞食デビュー
王16歳の時の夏に両親とつまらないことで口論となり家を飛び出す。 とりあえずその時に机の上にあった 5元 を盗み街へと向かう、田舎からポッと出てきた人間に街に知り合いもいるはずが無く長距離バスターミナルでただただ数時間佇むでいると、見知らぬ人間Kから話しかけられた
「君は此処で何をやっているのかね?」
「行くあてもなく困っているんです」
「俺についてきたら大丈夫、衣食住は保証しよう」
見知らぬ土地で心寂しくなっていた王は黙ってその人Kについていくことにした。 知らない人間についていくという恐怖感はあった物の、この数日間なにも口にしていなかったし、寂しかったのだ。 王を責めることは酷という物だろう。
数十分後Kと王はある工場にやってきた。 王は内心仕事を紹介してくれるのかとも思ったが、中に入ってみると工場内はガランとしており何もなかった・・・いや何もなくはない、奥の方に8人程たむろしている人間達がいた。
「おう、K遅かったな? なんだそのガキ?」
「いや、バスターミナルでうろうろしていたんで拾ってきました。 家出だそうです」
「お前名前は?」
「王です」
「我が組は君を歓迎する」
この組は長距離バスターミナルを根城にしている乞食集団あり、王は知らぬ内に乞食の仲間入りをしたのだった。 乞食側としても子供が自分たちの組にいると、同情が引けるからまさに王はネギを背負った鴨であった。 この乞食界では子供は重宝される、腹が減ったらバスターミナルに出かけ、少し老人の同情を引けばお金が貰える、しかも一ヶ月もすれば自分の故郷では一年かかっても稼げないような多額の金銭を手に入れることが出来るのだ。
そのような暮らしを続ければもう故郷に帰って普通に働いて生活を送ることが馬鹿らしくなってしまう。この様にして老練な乞食達は、前途有望な若者達をどんどん乞食の道へと引きずり込んでいく。 この王という少年も後十年もすれば前途有望な少年を乞食界へと引きずり込むであろう、そう、自分がやられたように。