第十章157回の唾



気が狂うほどの恥と怒り

  この話はある乞食資料の中から発掘しました。 話はとても嘘臭いけれど、もし本当だったら乞食生活の大変さを知る良い材料となるので此処に書します。

「ねぇ、何で乞食なんかしてるの?」
  これが僕と彼女の最初の言葉だった。 中国の女性はとても面子を大事にすると聞いたことがあるんだけれど貴女は乞食をやっていて恥ずかしいと思った出来事は何ですか? と、更に突っ込んで話を聞いたところ、彼女は真っ赤になって私にはどうしても忘れられない出来事が一つある。 と、言って話し始めました。

  あれは揚州の町外れに有る食堂での出来事だったわ、私は初めてその店にお恵みを貰いに行ったの・・・門を入っとたんに飯店内の会話が一斉にとぎれて急に会話のトーンが下がったわ、何を言ってるのかと思えば
「乞食が入ってきたぞ」
「そんなに不細工でもないのに、働くのがそんなに嫌なのか」
「中国の恥め!!」
「若くて、身体に障害が無いくせに・・何がお恵みをだ!!!」

  この最後の言葉を発したこの男は “ペッ” といきなり私に唾を吐きかけたの、それを待っていたかのようにみんなが“ペッ”“ペッ”“ペッ”と、唾を私に連続で掛けたわ・・・、左右両方から唾を掛けられるのよ。 呆然としていたら又更に三発、私の故郷では人に唾を掛ける事ほど人を侮辱することはないわ。 そんな事を考えていたら
「この恥知らず!!」

と、言う言葉と共に女性も唾を吐き掛けてきたわ。 顔が真っ赤になって本当に死にたくなったの、でもその時は只下を向いている事しかできなかった。


  この日は本当に最悪だったわ、本当にお腹が空いて空いて色々な場所に行ったけれども固い壁にぶち当たったみたいだったわ。 何人かは食べ物をお椀に入れてくれて私がそれを取ろうとすると
「ペッッッッッッ」
 と、唾を吐き入れるの。 みんな私を人扱いせずにまるで“猿”“精神障害者”みたいに扱うの・・、本当に辛かったわ、あの苦しみは言葉では言い表せられないわ

  私は只田舎が嫌だったの、だから都会に出てきて自由な暮らしをしたかったの。 それに話を聞いたところによると都会では金を稼ぐの田舎よりも簡単だとも聞いていたし・・・、まさかこんなに大変だったとは思いもよらなかったわ。 あの数日間で掛けられた唾は157回よ、157回!!!