学芸会は今度の日曜日。幼稚園のお友達にまじって、たくやも頑張っています。
「おかあさん、どこにいるの?」
たくやのセリフももう、完璧です。
「すげぇじゃん」
「なんか、本当におかあさんを探しているみたいだね」
お友達のみんなも、たくやの事をほめてくれます。
「えへへ」
たくやは少し照れてしまいました。
たくやのお友達に、こぐまのゆきちゃんがいます。ゆきちゃんには、実はおとうさんがいませんでした。ゆきちゃんのおとうさんは事故で、一ヶ月前に死んでしまったのです。
劇の発表会も近づいた、ある日のこと。突然、ゆきちゃんは泣き出してしまいました。あわててお友達も、智恵子先生もたくやもかけよります。
「どうしたの?」
みんなゆきちゃんにききました。
「おとうさんにあいたいよお。たくやくんがおかあさんに会えるみたいに、わたしも、おとうさんに会いたいよお」
そういって泣き続けるゆきちゃん。みんな困ってゆきちゃんを見ています。
「ゆきちゃん。かわいそうに」
智恵子先生はそう言ってゆきちゃんを抱きしめてあげました。たくやはそれを見て、言いました。
「ゆきちゃん、泣いちゃだめだよ。おとうさんなんか、いなくてもいいって思わなくちゃだめだよ!」
たくやは元気づけようと思っていいました。でも、その時、誰かが言いました。
「ひどいよ!たくやくん、おとうさんがいなくても平気なんて思えるわけないじゃないの!」
「そうだ!ひどいぞ!たくや!」
みんな、たくやにひどいっていうのです。
「え、でも…」
たくやは何も言えなくなってしまいました。智恵子先生は急に立ち上がって言いました。
「みんな、けんかしちゃだめよ。たくやくんだって、考えがあって言ったことなんだから」
先生は言いました。そして、たくやのほうを向いて、たくやに話しかけました。
「でもね、たくやくんもいけないわ。そんな言い方をしたら、ゆきちゃん、傷つくでしょう?」
そう言って、智恵子先生は手をたたいて、みんなの注意を引きました。
「ちょっとお休みしましょう。たくやくんとゆきちゃんは、先生といっしょに来てちょうだいね」
つづき