前の日に戻る


5月20日(月)(106)
今日は祝日。みんなお休み。何の日かな?たぶん天気がいいからだろう。

さて、昨日のことになるが、隣の部屋に住む男と話をした。Rubénさん23歳。

権利について勉強中とのこと。彼はちょっと英語が苦手らしく、もっぱら

スペイン語で話し掛けてくる。私のほうは覚えたての表現を駆使しながら話した。

それで、思い出してみると、あまり実のある内容ではなかったのだが、印象に

残っていることを幾つか書き留めておく。学生のアルバイト。結構みんなやっている

らしい。でも18歳未満はやらないといっていた。出来ないのか、やらないのが

普通なのか良く分からなかった。稼いだお金はもっぱら遊びに使うのだと。

なんだ、日本と変わらないじゃないか、と思った。

もうひとつ、Masa という名前の緑色したモンスターがいるのだと。

たぶんアニメかなにかのキャラクターだとは思うが。未確認。



5月21日(火)(105)

語学の演習で、となり同士ペアになって質問したり答えたりしろ、というのがある。

私の相方はいつもベトナム女。さぁ、じゃぁ始めようか、となると、まず演習の内容を

英語で説明する必要がある。先生の指示が全然通じていないのだ。おっと、その前に

彼女の質問を一通り処理する必要がある。そうでないと相方を務めてくれないのだ(涙)。

で、漸く演習を始められたと思ったら、「はーい時間ですよー」

で、そのベトナム女が今日は欠席だ(にまっ)。反対の隣の北京女とペアになった。

ところが彼女は、スペイン語で質問すると英語で答える。どうして英語で答えるんだと聞くと、

スペイン語が出来ないからだって。だから、あんた教室に通っているんだろう!

おまけに「映画に行くか」という質問項目に私がめったに行かないと答えると、

それじゃデートはどうするのだと妙な突込みを入れてくれる。

あんた、日本人の私生活に興味があってここにきているわけじゃなかろう!

そういえば、最初の授業で、学生全員が受講動機を尋ねられたが、

彼女は「わからない」と答えて先生を驚かせた。こやつ何者。ソフト・テロか?

緑モンスター呆れる。



5月22日(水)(104)
かつて知り合いに野呂瀬という男が居た。何の話しかというと、スペイン語で

「ノ・ロ・セ」といえば"I don't know it" のこと。

で、先週書いたように、語学の授業中にベトナム女が質問してくる。私も

わからないので(だから通っているんダイ!)ノロセと答える。と、昨日話したのが

きっかけで北京女も質問してくる。それでまたノロセと答えている間に授業が

先に進んで何の話か分からなくなると言う状況で、

遠くのほうから見たら両手に花だが、実際のところ一種の嫌がらせを受けている。

どうして、こう東洋人はそんなに人を頼りにしたがるかね。その向こうに座ってる

イラン女は自分で解決してるぞ、君達。

緑モンスター怒る。



5月23日(木)(103)
ジャン・リュック・ゴダールが監督したフランス映画に「カルメンという名の女」という作品があった。

フラメンコダンサーの話しだった。私が学部生のころに見た映画だから、かれこれ80年ほど前の映画だ。

で、語学教室にカルメンという名の香港人が来ている。今日、授業5分前に

廊下で待機していると、カルメンが日本語で話し掛けてきた。香港では

日本語を習う人が多いらしい。日本の大衆芸能が受け入れられているからだ

そうだ。それで彼女も2年間勉強したのだそうだが、日本語は難しいと嘆いていた。

わけを尋ねてみると人間関係に応じて表現が複雑に変化するからだ、と言っていた。

それと、あまり練習する時間がなかったので、話はすこし出来るが、聞き取りができない、

と言っていた。じゃぁ今度広東語を習ってLanguageExchangeでもやるかな

(どこまで間口を広げるつもりなんだろうか私は)。

緑モンスター、それよか予習しろよ。



5月24日(金)(102)
スペイン語の授業。今日は未来形のお勉強。英語のbe going toにあたる。先生が生徒に質問をした。
先生:今度の週末は何をしますか。
一人一人答えていく。
先生:マサ、あなたは何をする予定ですか。

私:パーティーを開きます。

一同:おぉー。

私:日本食のパーティーです。

女1:えぇー。

男1:すし?。

先生:自分で作るの?

私:すしだよ。

男2:僕達も行っていい?

女2:行きたぁーい。

私:自分で作ります。

男2:ねぇ、いってもいい?

女3:すし食べたぁーい。

私:だめ。

男1:俺もすし食べたいなぁ。

先生:まぁいいわね。

男2:だめなの。なんで?

女3:わたしすし大好き。

私:ごめんね。なぜなら、

女4:なんでだめなのぉ。

一時、授業が中断してしまう大騒動になってしまった。ちなみにパーティーのことだが、

急な話だが日曜日に手巻き寿司パーティ&茶会をJosepさんちで開くことになったのである。

それにしても、すしはどうしてこんなに人気あるのかな。

緑モンスター、実は準備におおわらわ。



5月25日(土)(101)
あさ11時にサン・ジョセップ市場でJosepさんと待ち合わせた。そう、彼と同じ名前なんだよね。

で魚介類を適当に見繕って速攻で帰宅してもらった。私のほうはぼちぼち寄り道しながらSJに

帰ったが3、4時間寝てしまった。で、むっくり起き上がって明日の準備を始めた。もっとも重要なのは

説明である。いかなる質問が飛び出すか分からないが、基本的なことは答えを考えて

おかなければならない。かなり難しいね。いままで先延ばしにしてきたツケだ。

侘び寂びとかどうやって説明する?しかも英語で。できればスペイン語で。

なんでお茶碗を回すの。正面を避けるから。でもなんで。

と、たぶんポル・ケ、ポル・ケの連続になるだろう。ちなみにスペイン語ではWhyもBecauseも

両方ポル・ケ(Porque)。したがって、客と亭主のポル・ケの掛け合いになるのだ。

緑モンスター、やや気が重い。



5月26日(日)(100)
結論から言おう。Josepさんには満足してもらったと思う。私としてはほぼ満足という状況だ。

ここから後は朝から順に追っていこう。思いつくまま書くので支離滅裂になる予定だが、堪忍して頂きたい。

朝9時に起きたが、支度にまごついて予定の10:39の電車を逃してしまった。

次の電車に乗るまでの間に、駅の窓口で後ろのおばさんに割り込まれそうになるし

(あんた私の後ろだろう、と言ってもとぼけるんだよね、けんかになりそうになった時、

前のおばさんが、私の後ろはこっちの旦那だよって言ってくれたから収まった)、

お釣りを誤魔化されたりで、大汗かいて行く前に疲れた。結局ついたのは1時。

Josepさんちに着いて、まず米を仕込むことにした。日本食品店でジャポニカ種を買っておこうか

と思ったけど、Josepさんがうちにあるよ、買わなくていいと言ってたので、ちょっと不安だったが

こちらの主流の長粒米で作ってみるつもりだったが、米を見せてもらって驚いた。短粒米だ。

米を研ぐ。水を入れる。30分置く。炊飯器はないので、鍋で炊く。水加減は勘に頼る。

初めは強火だ。煮立ったら弱火。米を水に浸している間に、昨日買ったマグロを切り身にした。

赤身とトロ。トロの部分はJosepさんいわくカジキだと。でも私の眼では明らかにトロ。

ちなみにスペイン語ではトロは闘牛のこと。すかさず、トロっていうけど闘牛のことじゃないよ、

とボケるのも忘れない。マグロの次はスミイカだ。皮をはいでいるうちに、30分経過。

米の鍋を火にかける。続いて烏賊の内側の皮(これがなかなか取りづらいんだ)を取るのに

夢中になっているうちに米のことを忘れていて、はっと気がついくと15分経過している。

鍋のふたを開けて覗いてみると、すっかり水がない。しまった、と思って慌てて火を止め、

コンロから鍋をおろす。焦げ臭くなかったので、たぶん大丈夫だろうと思ったが心配だ。

仕方ない。しばらく蒸らそう。烏賊をさばいて、げそをゆでる準備もした。

スモークサーモンとアンチョビの酢漬け(これがなかなかうまい。脂ののったコハダにそっくり)、

それにカニかまぼこ(これが結構こちらではポピュラーなのだ)を皿に盛り合わせた。げそも茹でる。

そろそろ人も集まってきたようなので、まずは

1菜:Sopa japonesa de marisco (海老の和風スープ)

に取り掛かる。実は、初めは私はハマグリの潮汁を作るつもりだった。ところがうっかり

marisco(海老の意味)と口走ってしまったので、海老の潮汁を作ることになってしまった。

しかしこれはアクが強すぎる。弱ったものだと思ったけど、仕方ない、渡りに船だ(?)と、

作ってみることにした。鍋に水を入れ火にかける。沸騰するのを待つ間に、ご飯に合わせ酢を

入れる。実は寿司飯を作ったのは今日が初めて。したがって分量は知らない。予めネットで

調べておけばよかったが後の祭り。でも昔実家で母や姉が作るのを見た記憶があったので、

その記憶を頼りに酢を入れる。合わせ酢は市販のもの。砂糖やらだしが入っていることに

なっている。かき混ぜてみると、おこげは全くない。時々味見をしながら酢を加えた。

こんなもんだと見切って再び寿司飯にふたをする。

そろそろ潮汁の鍋が煮立ってきた。そこへ車えび10尾を突っ込む。

ふたたび煮立ってきたところで、塩を少々、臭み消しと隠し味を兼ねて日本酒を突っ込む。

味見をしながら塩加減を整えた、が、やはり海老は煮るもんじゃないと思った。

Josepさんに味見をしてもらったら、うまいぞ、というので、そんなもんか、と思って、

食べて頂くことにした。お食事のはじまりだ。出席者はJosep夫妻、奥方Anaさんの妹夫妻、

そして私の計5人。スープを分配する。おーそうだ。いりごまと海苔があったな、

あれをトッピングしてもらおう、と思いついた。これは正解だった。海老の海臭さと、

いりごまと海苔の香りがうまく溶け合って(というか誤魔化して)、いい感じだ。

Anaさん以外の皆さんにはだいぶ気に入って頂いたようだ。海老の香りはきつかったが、

いいだしが出たようだ。塩加減にも満足。続いて本日のメイン


2菜:Temaki-zushi (手巻き寿司)

皿にご飯を盛り付けてみると、結構イケテル寿司飯に出来上がっている。はっきり言って驚きだ。

もちもちしているし芯もない。別の皿に海苔を4つ切りにして盛り付ける。以上をテーブルに出す。

魚も出す。しかし、あまりにもジャパニーズ、もとい、ハポネスなためか皆さんかなり腰が引けている。

結局、うまいうまいと気に入ってモリモリ食べていたのは男3人だけ。特にJosepさんと緑モンスターだ。

Anaさんはもともと魚が苦手らしい。Anaさんの妹さん(また名前聞くの忘れちゃった、

しかも忘れたことに気が付いたのは、たった今)は、スープのほうがよかったとストレートなご意見。

でも、これだから、美味いという時は本当なんだろうって思える。Josepさん、だいぶ海苔が気に入ったようだ。

海苔に魚だけ巻いて食べ始めた。最後はフルーツで締め。食事が済んだら5時を回っていた。

しかし、米ははらもちいいね。まだ満腹状態だよ(現在夜中の1時)。なんか忘れているよね。

そう、お茶会だった。実は今日の本当のメインはお茶会だったのだ。

じゃぁ、疲れたし、6時ごろから始めますか、ということになった。それに後から別の人も来るらしい。

とりあえず茶掃き(抹茶のダマをなくして細かくする作業)でもするか、ということになった、というか、

勝手に始めた。茶碗になりそうな食器を探して、茶筅をセットした。茶筅は3月に某J国のS氏に

持ってきてもらったものだ。茶巾は、ハンカチで代用した。たまたまスペインに持参していたハンカチの中に

未使用でやたら生地の薄いものがあったので、ちょうどよかった。茶杓はない。しかたない。

スプーンだ。やかんもない。あっそう、やかんが無いんだ。困ったな、と思ったら、ガラスの水差しを

出してくれた。これにお湯を沸かしていれて使おう、ということになった。

袱紗なんて日本から持ってこなかったが、こちらで購入しポケットハンカチーフを使うことにした。

懐紙?もちろん無い。ナプキンでOK。お菓子は予め買ってある。羊羹とおかき。

準備をしていると、ピンポーンと音がした。後続苦客の到着だ。ひととおり挨拶を済ませて、

席に着いていただいた。まずお菓子をだす。これから始めますと(なんちゃってスペイン語で)挨拶して

順じ、お湯、抹茶、茶碗、建水(代わりのボウル)を出して、お茶を立て始めると

皆さんそれまでのおしゃべりを止めてシーンとなった。

子供たちの喧騒が、大人たちの沈黙を一層引き立てる。おぉ、いかにも茶会の雰囲気ではないか。

そういえば書き忘れたが、畳のランチョンマットを持参した。ちょっとでも雰囲気を演出できればいいな

と思ったからだ。以前バルセロナの店で見つけたものである。それが長いテーブルの2箇所に

テーブルセンターのように並べられている。それを囲むように皆さん座っているのだ。

全員にお茶を供すると、極めて自然に、妹さんの旦那さんが「次はあなたが飲みなさい」と勧めてくれる。

これは日本ではなかなか見られない光景だ。どういう事かと言うと、日本で茶会だというとみんなカチコチになって、

こんな当り前のことが口に出せなくなっちゃうのだ。そしてこれは実に正しい作法なのである。

ひととおり済んだ。片付けた。みんな帰った。疲れた。想定問答集はさっぱり役に立たなかったが充実した。

SJに戻った。1階のバルに行くとPepéがいる。
どうだ、

つかれたよ、

今日は何したんだ、

そうか、そういつはいいな、

すしだぞ、

おお、すしか、いいなぁ、

茶会もやったんだ、

なに茶会、それはいいな、芸者も来たのか?

(Pepé、おまえプエルトリコに帰っていいよ)

次の日へ進む