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7月15日(月)(50)
夕べも闘牛中継を見てしまった。日曜の夕方、巨体が砂を蹴る姿に、どこぞの国の国技中継を

重ね合わせているのかもしれない。似てるよね。似てないか。昨日の牛は最後、留めを刺される前に

へたり込んでしまった。あーなると哀れだ。やはり、死ぬ間際まで突進して欲しいと願うのは残酷と

言うものなのだろうか。一度、生で見てみたいような、見たくないような、フクザツな感情。


夜、帰り道、路上でなにやら怪しげな男に道を聞かれた。怪しいのだけれど、どうも、憎めない

雰囲気で、本当に困っているようにも見える。つい情け心がむくむくと頭をもたげ、話し始めたところへ

体格のいい別の男がやってきた。「警察だ。身分証明書をみせろ」。職務質問だ。

待ってましたよ、この瞬間。この日の為に居住許可を取ったようなもんなのだから。

うきうきとカードを取り出して、見せる。「そうか、住人か、働いてるのか」

ひとつひとつの質問にシーと答える。もっと質問してよ、スペイン語だって習ったんだ。

「お前たち、コカインは持ってないな、金は持ってるか、ん、大して持ってないな」そう、私は大金は持ち歩かない。

それにしても、この、警察を名乗る男、たしかに身分証明書を見せながら話し掛けてきたけれど、怪しいな。

コカイン持っている人間が「はい、持ってます」って答えるわけないよね。

職務質問が終わって開放されたが、そういえば、あの道に迷ってたおじさん、どこに行ったのかな。

本当に気の毒な人なのかもしれない。


7月16日(火)(49)
今日は昼から、Alehandraさんの学位論文公聴会。

論文タイトルは「シンプレクティック写像における不変トーラスの存在」。

講演内容は、論文要旨、証明の概略など。1時間ほどの講演のあと、質疑応答30分ほど。

そう言えば去年の今ごろ、私もやりました。なんだか、時間の経つのって早いね。


午後、JoseMariaさんとJavierさんが中庭のカフェで話しているのを見かけ割り込む。

JoseMariaさん、いわく、彼女(Alehandra)の研究は、技術的に過ぎるね、と。なかなか厳しいね。

実際、審査員の先生方もそう指摘していたらしい。レベル高いんだけどね。

一方、Javierさん。彼は生物学者なので、まず用語が分からない。

トーラス(ドーナツのこと)と聞いてスペイン語のTORO(牡牛)を連想したらしい。

不変な牛ってなんじゃって。さすが生物やさん。


7月17日(水)(48)
しばらくゴージャス気候が続いていたが、最近、徐々に暑くなってきた。夜は随分と冷めるのだが昼間がイカン。

とくに日向。まぁ、やっぱりスペインですな。そういえば、Simo先生が言ってたけど、何年か前の夏、彼が

アンダルシアに行った時は気温50度になったそうだ(ケルビンでね)。私は熱めの風呂が好きだけど、それでも

50度のお湯に浸かったことはないよ。生きてるだけで火傷しそうなアンダルシア。ちなみにセビリアはアンダルシアの

フライパンと呼ばれているのだそうだ。

ところで、今日は久しぶりにセミナーがあった。私の業界では有名な(と思うけど、、)Chencinerさんのお話。

3年くらい前だったか、三体問題に8の字周期解なるものが見つかった、そのときの存在証明のテクニックに

関連した話題でした。直接じゃなくて、あくまで関連ね。


7月18日(木)(47)
もしかして、書き忘れていたかもしれないが、今月の初めからMAiAでネットワーク工事が始まった。

今までは地上階の壁に穴をあけたり、新しいケーブルを取り付けたりしていたが、いよいよ今日から

地階の工事が始まった。こちらの建物は石やら煉瓦で出来ているから、道路工事でアスファルトに

穴をあけるような道具をもってきてガガガガガガとやるわけである。うるさい。凄いうるさいし、粉塵も

多いの細かいのって、とても仕事できた環境ではない。それでも、午前中は隣の部屋だったので

我慢して仕事を続けていたが、午後になると、私のオフィスに進んできたので、退散することにした。

いつまで続くのかな、この工事。ちょっと不安(某教会みたいに200年かかるとか言わないよね)。


7月19日(金)(46)
とりあえず、大学に出勤してみたが、私の部屋は工事中。仕方がないので、図書館に行ったり、

その辺をぶらついたりというわけだ。まぁね、しょうがないんだけど。午後、遅くなってから、戻ってみると、

工事の人は帰ったらしく、ひっそりとしている。Jaumeさんが、仕事するなら他の人の部屋使ってもいいよ、

と言ってくれる。工事が始まってから、あるいは学期が終わってから、大学に来る人の数はめっきり減った

からである。Jaumeさんも、来週から1週間旅行に、そのあとは1ヶ月出勤しないと、言っていた。そもそも、

こちらでは大学教員の勤務時間というものが存在しない。給与に対する義務は授業だけ。今日、来年度

の学事日程を貰ったけど、次の学期が始まるのは9月の下旬。だから、9月から出てくれば次の授業の

準備には間に合うというわけですね>Jaumeさん。でもね、もう会えないかも知れないんだよね。

そう思うと、ちょっと寂しいね。初めてここに来た時から色々とお世話になったのでね。お元気で。


7月20日(土)(45)
今日もいい天気だ、というか、暑い。そして、出勤。休日ぐらい、シッチェスの浜に出かけても良さそうだが、

出不精なのである。以前は、自分は外出好きだとずっと思っていたが、こちらに来てから、

実はそうではないんじゃなかろうか、という気がしてきたのである。まぁ、どちらでも構わないのだが。


さて、今日は大学のネットワークが不通になっているらしい。何かの工事なのかな。ネットワークに限らず、

この大学はよく工事している。どんどん綺麗に立派になっていくのである。この前も、数学図書室が

ひと部屋増設されたばかりだ。その前は階段の壁を直していた。同時にそこのステップも真新しい

大理石に張り替えられていた。お金あるんだろうな、カタルーニャ。ちょっと羨ましかったりする。


7月21日(日)(44)
いつのまにか、エル・コルテ・イングレスのショウウィンドウに並ぶ人形たちの服が秋物に替わっていた。

早いなぁ。バルセロナはこれから暑くなるというのに。日差しが痛い。見上げると、街灯に提げられた

ポスターが眼に入った。来週の木曜日は、モンジュックの丘にあるオリンピックスタジアムでフィエスタが

あるそうだ。よく分からんが行ってみようかな。


大学に来てみると、やっぱりネットワークは不通だ。したがって、アップロードも遅れるであろう。


夜、SJにて。再び、闘牛中継を見てしまった。そこには衝撃的な映像があった。闘牛士が牛の角に

引っ掛けられて放り出され、足蹴にされて最後に頭を蹴っ飛ばされたのである。どう見ても、あれは重傷だ。

ちょっと後味の悪い夜になった。


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