地方(という言い方は失礼なのか?)に出るとたまにとんでもない物に出くわす。変な看板、変な名前の店などに。海外でも良くあるな。なぜにそんなところにそんなものが!とか(笑)。そしてそういうのは忘れられない思い出となる。

私の実家は東京でも埼玉よりの田舎なもので、デートと言うと奥多摩方面が多かったりした。景色も良いし、面白いものがいっぱいだったりする、今でもお気に入りの場所だ。そして、そこにも変なものも突如として現れるのだ。

ちょうど10年前に付き合っていたいかれポンチである“二番目に愛しい男”も住んでるのがうちよりもっと埼玉よりだったので(笑)、やっぱりデートはもっぱらそっち方面だった。ある夏の日の事。某有名神社の夏祭りに行きました。

祭りじゃ祭りじゃぁ!

アホのようにはしゃぐ私。普通の人ごみは嫌いなくせに、なぜか祭りの人ごみは好きだ。混んでなかったら祭りじゃないもんね。食べ物も祭りでしか味わえないものが多い。祭りだからうまいんだよ。っていう奴(笑)。ま、そんな事は良いんだけど。

そんなお祭り女がいかれポンチ男と目にしたものは。

見世物小屋

でございます!昭和初期ではなく、この平成に見世物小屋。素晴らしいではないですか!外からは見えないテントのような小屋の奥はひっそりと静まり返っている。外見はいかにも何か怪しい事が起こってそうな空気をこれでもかってぐらいにかもし出している。

「入る!!」いかれポンチと私は千円づつ払いワクワクしながら入り口をくぐった。おぉぉぉ!?こんなに人が!!感嘆とともに眺めようにも薄暗い。というか、暗い。電気用のモーターがくぐもった音でうなっている。狭く細長い通路にテーブル。その向かいに学校の集合写真撮る時に使われるような段になった席があり、老若男女関係なくこれでもかってぐらいギューギューに詰めて座っている。これは期待できるぞ!

今日の見世物は

『オオカミ少女』

である。おぉぉ!?檻にでも入れられてるのだろうか!?でもそんなでかい檻はこの狭いテントには入らんぞ。。。も、もしかして首輪のみ?綱が切れて私たち襲いかかられちゃうの!?ドキドキワクワク!!もう脳内モルヒネでまくり(笑)。

待たされること30分。もう見物人は痺れを切らしておりました。もう限界!!と言うところでサーカスの団長が着るようなタキシードを身にまとい、あの黒のハットをかぶり、じいさんが出てきた。おぉぉ!始まるぞぉぉ!私たちは思いっきり期待していた。じいさんが朗々と

「さぁ、今晩ご覧に入れますのは世界でも有名なあの密林で発見された世にも珍しいオオカミ少女でございます!」

と語ってくれるのを!見物人の100以上の眼がじいさんに集中!その中じいさんは、なんと!!!手品を始めた。。。。しかも何も言わない。黙々と、ネタばらしてるっちゅーのってぐらいおぼつかない手さばきで延々と、古い、今は誰もしない手品を見せてくれた。怒る見物人続出。呆れるいかれポンチと私。しかし、そんな空気をじいさんは無視し、寒い手品を披露し続けた。最後の方はかわいそうになってしまったよ;

そのじいさんがネタが尽きて引っ込んだとき、他のオヤジが登場。そして「えー、本日はご来場頂きありがとうございます。オオカミ少女ですがXXXX年XX月XX日に日本のとある山奥にて発見されましてー。。。。。」と長々と、しかも淡々と説明しはじめた。ひょうしぬける私たち。。。いや、たぶん少女は凄いんだ。落としておいて、私たちを驚かせるつもりなんだ!期待は一向に収まらない。

「それではご覧入れましょう。オオカミ少女でございます」

入り口付近からついにオオカミ少女が登場!!!

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。こ、これは一体。。。!!

。。。オバハンだった。少女じゃない少女じゃ(怒怒怒怒怒怒)!!!そのオオカミ少女ならぬオオカミばばぁは、長い黒髪を後ろに束ね、苦労の連続の人生を思わせる深い皺を顔にたたえ不機嫌そうに私たちの前に立ち尽くした。

そうだ、長年見世物として扱われ、オバハンになっちゃったんだ、きっと。相変わらず固唾を飲み見守る観客。

「オオカミ少女は密林での生活中、イノシシ、ウサギ、蛇、蛙など食べておりました。そして今日のオオカミ少女の夕飯は蛇でございます。」

どぉぉぉん!!!来た!ついに来た!蛇食ってくれるんだ!私たちの目の前で!一斉にどよめく観客。目がキラキラ輝く私といかれポンチ。

テーブルの向こう側に立った、オオカミばばぁは箱からやたらと太くて長く黒い蛇を取り出した。テラテラ、ヌメヌメしたかんがあるそれはウネウネと動いている。オオカミばばぁは、なんと蛇の頭を噛み千切って「ぷっ!!!」と吐き出し、頭が無くなってまで狂ったように動くその蛇を

ムシャムシャ。。。ムシャムシャ。。。。ガリガリ。。。ムシャムシャ。。。ムシャムシャ。。。。ムシャムシャ。。。ムシャムシャ。。。。そして2匹目。。。。。ガリガリ。。。ムシャムシャ。。。ムシャムシャ。。。。ムシャムシャ。。。ムシャムシャ。。。。ムシャムシャ。。。ムシャムシャ。。。。そして3匹。。。。。

うおぉぉぉぉぉ!!!!観客の誰もがそのオオカミばばぁの行為に見入っていた。と、その時、オオカミばばぁに一番近い席の観客の一人が呟いた。

「あ、うなぎ。。。。」

。。。。(怒)お前わかっても言うなよっ!!!!

その後は観客達は「ウナギだって」「うなぎウナギ」ボソボソひそひそコソコソ。。。。。

あぁ興醒め。。。

オオカミばばぁにも絶対そのひそひそは聞こえてるはず。でも相変わらず眉間に皺をたたえた無表情は淡々と“蛇”を食べつづけた。口の周りはウナギの血で真っ赤に染まり、ムシャムシャと食べていると思ったのに実は隠れて吐き出していた瞬間を目にした時、見世物小屋に関わる人々の悲しく苦労で一杯の人生(勝手に想像した)を、見てはいけない物を見た気がして、後味が悪かった。

小屋を後にした人々のほとんどは無言だった。。。。しかし、ある意味見世物としては大成功を収めた余興でございました。

終わったのは約一時間後の夜の8時すぎ。最終日だったそのお祭りはパタパタと店じまいを始めている頃だった。私といかれポンチはあたふたと祭りならではの食べ物を買いあさり、帰りの車の中で、「あのオオカミばばぁ、すごかったねぇ。口の周り血だらけにしてさぁ」「人生凝縮って感じだったよねぇ」なんて話しながら食いきれないほどの食料を二人で仲良く分けて食べたのでした。もちろんウナギは無し。

又どこかで見つけたら3000円払っても見てみたい見世物小屋でございました。今度は「河童」とか見てみたいわ(笑)。