J君の話

 

実はこの子、でぃーじゅ君の初めての留学生友達だと思う。と言うのは、住んでいる寮が同じ階だったこともあり、すぐに友達になったみたい。

「いい子だし、色々な分野の話ができるし、なかなか賢い子だと思うんだ。だけど、動きがちょっと変・・・。」

と言われて私はよく分からなかった。動きが変ってなんだ??
それが、初めてでぃーじゅ君のところに遊びに行ったとき、お会いする機会があって、それがよく分かった。握手をしようと手を差し出した私に、自分の手を大きく振りかざした。

叩かれるのかと思った・・・

もちろん、彼にはそんなつもりはなく、ただ握手をしただけだったが、驚いた。

J君、実はまだ10代だったりする。その割には、精神的に大人びていると思うのだけど、時々、10代の顔を見せる。
日本語は無茶苦茶上手。その上、両親が中国人と言うこともあって、見た目は日本人の様。日本語の変なアクセントもなく、話しているだけだったら、日本人だと思われると思う。
日本人のGFを見つけたかったらしいが、話していると日本人なのに、やることが外国人・・・というギャップが理解できない女の子が多かったみたいだ。ターゲットは、女子高生だったりしたので、余計そうだったかもしれない。

時々、でぃーじゅ君も首を傾げていた。
「何かさ、よく女子高生とパーティーをしようって計画しては、僕も誘ってくれたんだけど、ずーーーっと日本語で話し続けるんだよね。ちっとも、通訳してくれないの・・・」

確かにそういうところはある。私とJ君と彼との三人で話しても、私とJ君にしか分からないであろう、日本語ネタで盛り上がろうとする事が多い。

一度、一緒に外出したとき、J君の携帯に中国語で電話が入った。何故かずーっと中国語で話し込む。別に良いのだけど、私の方を時々、チラッ、チラッと伺うように見るのが気になった。

「中国語が話せるってのを、私に見せたかったのかな?」

「そうだと思う。よくやるんだよねぇ・・・。で、結局、女の子達に変な印象を与えちゃうんだよね。」

確かに・・・。

私は、彼よりずっと年上なので、「はい、はい・・・」と済ませられるのだが、彼と同年代の女の子だとそうはいかないみたい。

最近、面白いことを聞いた。J君がでぃーじゅ君に言ったらしい。

「君は、ラッキーだよ。あんな頭のいい彼女がいて・・・。しかも、日本に来る前からでしょ?君のために英語でずっと話してくれるし、落ち着いてるし、大人だし・・・」

と散々私の事を褒めまくった挙げ句言った。

「でも、僕にぴったりの相手じゃないんだ・・・」

でぃーじゅ君は、それを聞いた時、一瞬ムッとしたが、すぐに「その理由は?」と思ったらしい。
で、私はと言うと、「ぴったりの相手じゃない」と言われて、何でそう思うのかは気になったが、逆に「ぴったりなんだ」と言われたらもっと困る・・・と思った。
私が落ち着いてるのも、大人なのも、彼の周りにいる10代の子と比べたら当たり前のこと。ただ、単純に、その子達より年を取っているだけのこと。

J君、日本語が話せない留学生仲間にGFができて、日本語が流暢な自分にGFができなかったのが許せなかったらしいけど、結局、「僕は理想が無茶苦茶高いから、GFができなかったの!」と結論付けたらしい。

で、私がJ君の「ぴったりの相手」になれない理由が判明した。

「僕には、年を取りすぎている」

からなんだって。

悪かったな、年を取りすぎていて・・・。