焦がれた膝を抱えながら
0:夕陽が心を揺さぶった
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心の中ではそんな想いと比例するように、まるで写真を撮ったかのように、旅の情景達が鮮明に呼び起こされる。それはバンコクの熱にゆらめく喧噪であったり、寒さに濁ったソウルの街並だったり、或いはビールの酔いを目に浮かべる友人の顔だったりした。一枚、また一枚と、心の中で旅の写真が捲られていく。
自分が進んでゆく時間軸とは逆の方向に。そしてその流れは、ある一点に行き着いた。それはついさっきまで、まるで物置きの中にあったかのように、無意識の下に隠れていた物だった。電車から見る夕陽がそれを呼び起こしたのかもしれない。
あの時眺めた陽の輝きも、こんな色をしていた・・・。
思った瞬間、その時の感情を、直に触ったような気がした。水割りの氷の様に心で転がすその手触りは、奇妙な程の現実感があった。それは初めて海の外で、夕陽を眺めていた自分の心の感触だった…。
ずっと昔の事の様に感じていたけれど、あれは一年ちょっと前の話なのだ。
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