焦がれた膝を抱えながら
2:漆黒のケアンズは香水の匂いがした
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「現在、機体に故障が見つかった関係上、出発時刻を11:30分へと変更いたします。」
何!?遅れるのか?私の体に嫌な予感が走った。
「嫌な予感というものは必ず適中する」そういうマーフィーの法則があるのかどうだかは知らないが、今回に限ってはそれが正しいと言わざるを得なくなった。
というのも変更した出発時刻になっても搭乗案内がされないのである。さすがにソファーで待機している、周りの人達も落ち着かなくなって来た。
やがて館内に響く、再びのアナウンス。
「成田発ケアンズ行き767便にご搭乗予定のお客さま………当機の調整が完全に終了しておりません。つきましては、搭乗時刻を14:30分にさせて頂きます。」
・ ・・・・・・・・。
絶句、である。だってそうだろう。当初19時にケアンズに着く予定だったのが、これじゃ22時近くになってしまうじゃないか!宿はどうするんだ!ノーショウ(予約しておいて現れない事)だと思われて、ブッキングを消されたらどうするんだ!
夜に出歩くと危ないって「地球…」には書いてあったぞ!着くの自体が夜じゃないか!第一お昼を食べてないんだ!お腹が空いたぞ!
すると私が心の中でさんざん悪態をついた事に気が付いた、のではないだろうが、乗務員が乗客にサンドイッチを配り始めた。ついでに気になる宿の事を質問すると、宿には連絡が入るようになっているから大丈夫だ、と彼等の中の一人が答えた。
減ったお腹は満腹になったけれど、私の心の中には朝消え去ったはずの「不安」の塊が再び巣食っていた。
結局、飛行機は予定より3時間遅れでケアンズに向け、出発する事になった。私の中では不安と葛藤が比例的に大きくなっていった。そんな精神的に不安定極まりない中、せめてもの救いだったのは乗客のほとんどが日本人であるということだ。
「彼等も夜遅くに着くんだから。」そう考えると言葉をかわすわけではない人々に、勇気づけられてる気がした。
私は心の中で彼らに「お互い大変ですね。」と声をかけた。