バクタプルとパタンの街


ネパール旅行も残すところのフリーの一日となった。5:00早朝、マイクロバスで「ナガルコットの丘」に向かった。まだ辺りは真っ暗で、昼の雑踏がうそのようである。王宮近くに来るとまともな道になり、道路を照らす街灯が美しい。別の国に来たようだ。市街を抜けて、徐々に高度が上がってきた。同時にかすかな焦りを感じてきた。辺りが明るくなり始めたからである。ナガルコットに到着したのは6:40。高度2166mで、今回の旅行で最も標高の高い地点であった。マイクロバスを降りるが早いか皆で走り出した。何とか日の出に間に合いそうである。丘の上には既に数十人の観光客。寒さをこらえながら、東の空を見ると、雲の切れ間から出てくる一日遅れの初日の出。そして、その左から始まるネパール東部の山々達。遠く見えるのが「クーンブ山群」。かなり遠いので、よくわからないがこの中に「エベレスト」がある。さらに左にいくと、少し間近に「ジュガール山群」が見えた。アンナプルナ山群とは違い、小さく多くの山々が見え、どの山が何かよく分からない。そのうちに辺りにガスが広がって、すぐに山は見えなくなった。ほんの20分程の眺望であった。願わくば、もう一度見てみたい!


ナガルコットを下り、霧に包まれた緑の段々畑を見送って、やがて「バクタプル」(別名バドガオン)という街に到着した。カトマンドゥとナガルコットの間にあり、カトマンドゥの東、約15kmに位置している。15世紀から18世紀の「マッラ王朝時代」には、この「バクタブル」、後で行くことになる「パタン」、そして「カトマンドゥ」を首都とする3王国が栄えていた。このバクタブルは一時は盆地全体の首都であったとも言う。そういうこの街からは、カトマンドゥとは違い、長い歴史の趣きが感じられる。決して埃っぽくなく、全体が落ち着いていて、日本の京都を思わせるものがある。しつこい売り子なども見かけない。しかも、地面は煉瓦で覆われていてたいへん美しい。何でもドイツの援助があったとのこと。他の街でも、フランスや日本の援助などあったということで、世界遺産として登録されているカトマンドゥ盆地の重みが感じられる。ネパールに行く機会があれば必ず訪れて欲しい街だ。右の写真はナガルコットから引かれている水道で、カトマンドゥで見かけたそれとは異なり、飲むことができるという。素晴らしい!


右は道端で干されていた焼き物で、この器で飲み物を飲んだ後、ぽいと捨てるのだそうだ。日本でいう紙コップのようなものである。また、バターランプの器としても使用されることもある。バターランプは、バターや菜種油を燃料としているが、一般的にはバターの方が良く使われるようである。なんでも、バターを器の上に盛った状態が山のように見えるため、神様がそれを見て喜ぶのだという。宗教上の習慣であるが、なんともロマンティックな話だ。右は「プジャリ・マート」という木彫美術館の建物側面の「孔雀の窓」で、当時のネワール王朝時代の木彫り彫刻の最高傑作である。


左の写真、ここの通りには煉瓦で整備される前の石畳が残っている。私は、個人的にはこちらの方が好きだ。右の写真は3世紀頃の仏像で、"日"の化身である。太陽は古代から信仰の対象であったことがうかがえる。


バクタブルを後にして、次は「パタン」の街を訪れた。こちらはカトマンドゥの南、約5kmに位置する。この街は、仏教が中心で、あちこちにその文化を見ることができる。左の写真にも見てとれるように多くの建築物が近接しており、たいへん素晴らしい。この一つ一つが独立したお寺であり、各々に和尚さんがいるのだという。さて、右の写真に注目。屋根を支える桟に施された彫刻が分かりますか?各々下の方に男女を描いた怪しげな彫刻が見てとれる。そう、バラエティに富んだ「エ○チシーン」の数々。(といったら神様に怒られるか?)何でもあの瞬間に悟りが開けると言われ、また当時はネパールの人口促進の意味もあったという。腕や足などの素肌を見せることでさえ憚られているネパールの中で、こんなすごいものがあるとは予想していなかった。中には、3人で悟りを開いているものや、なぜか動物と悟りを開いているものもあった!?


左は「マハボーダ」という寺院で、インドの「ブッダ・ガヤー」にある大塔に似せて作られた16世紀の建造物である。高さ30mほどもあるため、下から見上げて撮っている。塔は、粘土版で作成された約500体もの仏像で覆われている。右はインドから持ってきた菩提樹の木で作った、仏陀の母親の像である。写真は、仏像の輪郭がわかるよう、画像処理をしてコントラストを強くしているため、周りが実際より明るくなっている。


左は、「バズラ」という商売繁盛を祈願するための道具である。写真は、置物用として作られているのでかなり大きいものだが、祈願用は手に持てるくらいの大きさで、祭りのときに使われる。右は、本日の昼食。中央にあるのが「ダル」で豆のスープ。これを右下のさらさらの御飯に掛けて食べる。特に辛くはなく、なかなか香ばしい。その、右上にあるのはカリー。これは、日本で口にするのと似ている。ダルの左下にあるのは野菜の炒め物で、しし唐がとても辛かった。