<文法−4.述部構造

  「花子は毎日掃除を させ+られ(ヴォイス) てい(アスペクト) た(テンス) らしい(モダリティ)

ヴォイス

誰を中心に述べるかによる違い:受身、可能、使役、自発

アスペクト

開始直前、開始、進行、完了、完了直後、結果、現在に至るまでの変化、将来の変化

テンス

発話時点を基準にした時制(絶対的テンス、相対的テンス)

モダリティ

願望、意志、命令、勧誘、推量(ようだ:比況、そうだ:伝聞、らしい:典型)、確信

(1)ヴォイス

 

受身

可能

使役

U-verb

(kak-u)

語幹+areru

書かれる

語幹+eru

書ける

語幹+aseru

書かせる

RU-verb

(tabe-ru)

語幹+rareru

食べられる

語幹+rareru

食べられる

語幹+saseru

食べさせる

不規則

来られる、される

来られる、できる

来させる、させる

A.受身の分類・・・能動態/受動態

直接受身

(まともの受身)

・能動態の「を格」目的語を主語にしたもの

「太郎が次郎なぐった」→「次郎太郎なぐられた」

※「を格」目的語をとる動詞のみ=自動詞からは作れない

※移動の場所を表す「を格」から受身は作れない

 「太郎が廊下を走った」→×「廊下が太郎に走られた」

※動詞によって「に格」は「によって」「から」になる

「によって」生産、破壊に関する動詞(建てる、描く、破壊する)

「から」授受動詞(与える、贈る、渡す)

相手の受身

(第三者の受身)

・直接受身で、能動態の「に格」目的語を主語にしたもの

「太郎が次郎手紙を渡した」→「次郎太郎から手紙を渡された」

「太郎が花子次郎を紹介した」→「花子太郎に次郎を紹介された」

 非情の受身

・直接受身で、物が主語になる場合

「鐘を鳴らす」→「鐘が鳴らされる」

間接受身

(被害・迷惑受身)

・能動文に受け手が「を・に格」で含まれない

・受け手が被害や迷惑を感じているもの

「太郎が死んだ」→「太郎に死なれた」「雨に降られた」「子供に泣かれた」

※目的語が受け手の所有物の場合は<持ち主の受身>になる ※英語にはない

持ち主の受身

・能動文に受け手が「を・に格」で含まれない

・受け手の持ち物が行為を受けることにより、受け手が被害を感じるもの

「太郎が次郎の頭を殴った」→「次郎は太郎に(自分の)頭を殴られた」

「財布を盗られた」「妹をいじめられた(身内を所有と考える)

※被害や迷惑を感じないものもある「先生に息子を褒められた」

※所動詞:(できる、要る)受身を作れない動詞

 B.可能の分類

能力可能

・主語がそれを行う能力を持っている

「私は英語が話せる」「彼は納豆を食べられる」「この問題できる?」

状況可能

(能力はあってもなくても)状況的に可能かどうか

「今日はゆっくり話せる」「病気で好きなものが食べられない」

性質・属性可能

・物の性質や属性

「この国の生水は飲めない」「このきのこは食べられる」

特殊(プラス評価)

・性質に関する主観的なプラス評価を表すもの

「あなたは話せる人だ」「少しは見られる格好になった」

  ※「ら抜き言葉」:最近一般的に多く使われている誤用(自然な語形変化と言える)

   RU-verb可能形=語幹+rareruであるのに、U-verbに似せて語幹+reruとするもの

 C.使役の分類

  「XVする」→「YX(を・に)Vさせる」

 (a)意味による分類

強制

・行為者の意志に関わらず強制するもの

・物に対する使役の意思的なもの

「生徒を廊下に立たせた」「機械を作動させる」

許可・放任

・行為者(有生物)がやりたがっていることをさせるもの

「彼のやりたいようにやらせる」「私にも歌わせてください」

特殊な使役

・間接的、結果的、使役の意志のないもの

−働きかけは意思的であるが、間接的であるもの(誘発)

 行為者に強制や許可を与えても実現できないもの

「彼女がこの花を咲かせた」「生徒を全員合格させた」

−働きかける意志のないもの(知らず知らずに、使役者は無生物でも可)

「客が来ているとは知らずに待たせてしまった」

「風邪を引いて鼻をつまらせてしまった」「その知らせは彼女を泣かせた」

  ※「さ付き言葉」:最近一般的に多く使われている誤用、謙譲表現「させていただく」の多用

   U-verb使役形=語幹+aseruであるのに、RU-verbのように語幹+saseruとするもの

 (b)形による分類

ニ使役

を格をとる他動詞から作られた使役(二重を格制約)

「太郎が本読む」→「父が太郎本を読ませる」

ヲ使役

に格をとる他動詞から作られた使役(同様)

「太郎が母会う」→「父が太郎母に会わせる」

※無意志動詞(「泣く」など)はヲ使役のみ

ヲ/ニ使役

に格をとらない自動詞から作られた使役

「太郎が走る」→「父が太郎(を/に)走らせる」

※この場合 ヲ使役:強制>>許可・放任  ニ使役:強制<許可・放任

 (c)使役と他動詞の違い

  ・使役:相手に行為を行うよう指示する(基本的に相手は有生物)

    ※使役を使うことが不可能だと文脈からわかる場合は他動詞を使う

  ・他動詞:話者が相手に対して行為を行う(相手が無生物の場合は他動詞)

    ※相手が無生物であるのに使役を使う場合

    −対応する他動詞をもたない非意思的な自動詞の場合

     「髪から水をしたたらせる」「野菜を腐らせた」「氷をこおらせる」

    −その動作が「自然に〜する」性質のものである場合(使役のほうが自然)

     「プリンを冷蔵庫に入れて固まらせる(△固める)

 

使役

他動詞

弟にパジャマを

○着させる

○着せる

植物状態の弟にパジャマを

×

人形に服を

×

先生が生徒を廊下に

○立たせた

×立てた

ケーキにろうそくを

×立たせた

○立てた

 

 D.自発:ひとりでにそうなる・そうしてしまうようなこと

独自の形

「あの時の景色が目の前に見える(ようだ)」「波の音が聞こえる(ようだ)

受身形と同じ形

「将来が案じられる、思いやられる」「迅速な対応が待たれる」

 

(2)アスペクト

開始直前

これから歌うところだ

開始

歌い始める、歌い出す

進行(進行相)

歌っている(ところだ)、練習中だ、歌い続ける

完了

もう歌った、全部歌ってしまう

完了直後

今歌ったばかりだ、今歌ったところだ

結果(結果相)

犬が死んでいる、彼は帽子をかぶっている

過去の経験(経験相)

私は一度負けている

単純状態

この道は曲がっている

習慣・繰り返し

私は毎日歯を磨いている

現在に至るまでの変化

これまでも多くの人が死んできた

将来の変化

これからも多くの人が死んでいくだろう

A.アスペクトによる動詞の分類(金田一春彦(1950)「国語動詞の一分類」)

状態動詞

テイルを作ることができない(ある、いる、できる、要る)

※命令文を作れない(☆例外:いる)

継続動詞

テイルが進行中を表す(読む、書く、話す、食べる、降る、吹く)

瞬間動詞

(完了、主体変化)動詞

テイルが結果を表す(死ぬ、枯れる、忘れる、着く、消える)

 ※変化が瞬間でなくても結果を表すもの(太る)

 ※変化が瞬間でも結果を残さないもの(たたく)

第四種の動詞

テイル形が普通(優れる、そびえる、ずばぬける、ありふれる、ばかげる)

 ※連体節の述語は違う ※命令文を作れない

その他

テイルが反復を表す(今も多くの人が死んでいる)

テイルが過去の一回の出来事を表す(それは作者がここに書いている)

(3)テンス

 A.絶対的テンス

 

ル形

タ形

状態性述語(形容詞、名詞+コピュラ、状態動詞)

現在

過去

動作性述語(動作動詞)

未来 ※「ている」現在

過去

 B.相対的テンス

   従属節内のテンスは主節のテンスによって左右される(主節より前か後か)

 C.テンスのない文(超時制)

   一般的な事実を述べるだけの文「カニは横に歩く」「1たす1は2だ」

(4)モダリティ

願望:食べたい

意志:食べよう

命令:食べろ、食べなさい

勧誘:食べよう、食べませんか

推量:だろう、ようだ(→比況)、そうだ(→伝聞)、らしい(→典型)

          高 ← <確信度> → 低

  説明:のだ、わけだ(→疑問氷解)(「わけだ」の否定にはニュアンスがたくさんある)

確信:はずだ(→疑問氷解)、ことになる、にちがいない (※→モダリティ以外の用法)