独断場

個性的な駅が多くグッドデザイン賞に選定された大江戸線の駅である。

飯田橋駅に比べると内部の構造などはオーソドックスで、その点は普通。

しかし、この駅には一種独特な気品のある雰囲気がある。他の駅にはなかなか得られない感覚だが、それは単に間接照明がお洒落っぽい、とか御影石が黒いけれど高級そうだとか、設備や素材のためだけではない。

他の地下鉄駅と大門駅を区別したものは構造ではなく「光」であった。

この駅は明るくない。一般的な地下鉄駅に見慣れている人(私もそう)にはむしろ暗い。初めて来たときはその暗さに少し戸惑うが、決して不快ではない。おそらく、空間全体が暗さで統一されているからではないか。

判りにくい表現で申し訳ないが、一般的な地下鉄駅を思い出してみる。大抵は蛍光灯が天井の端に一列に並びコウコウと明かりを放っている。おかげで構内は明るいが、蛍光灯が直接あたる場と柱や壁の陰になった場の明暗に大きな差があることに気がつく。この明度の差に何らかの意味付けなりメッセージがあればより豊かな空間になろうが、ただ構造上差が出来ただけだから空間の質を高めることはない。むしろ、うら寂しさが漂いさえする。その点で大門駅は、均等に明るさが抑制されていて明度の差が小さい。きっとこの抑制された明度が空間に気品をもたらすのだと思う。

うーん、光の持つ効力はあたらおろそかには出来ないのである。

 

[大門駅]     [Station List]