独断場

 

 

なかなかに趣ある駅である。

駅舎こそ最近になって改装されているが、ホーム上屋、特に板張りの壁などは塗料が剥がれ、その一部は向うが覗けてしまう。くたびれた駅である。しかしながらホームに据えられた長い木製ベンチや柱の形状を見ると、東京のド真ん中でけなげに頑張ってきたのだなあ、感慨にふけってしまうのである(実は東急の支線にはこのような古い駅が多いのだけれど)。

  

駅の来歴からみておそらく戦後に建設されたものと思われるが、自らを飾り立てようとする意思は全く感じられない。木材と鉄骨(跨線橋の橋脚と補強材)が素材むき出しで組成された様はまさに「構造主義」!(ほんまかいな?)電車の乗り降りと乗換えが出来ればもう十分、といわんばかりである。

そんな駅にあって、大井町線ホームの地下連絡通路にある階段室はトップライトを取り込み、他のスペースと比べると際立って明るい。無愛想・武骨な駅にしか見えない旗の台駅の内部に存在するこの空間が、私にはとても魅力的に思われた。おそらく他の、しかも真新しい駅に同様な空間があったとしても琴線に触れることは無かっただろう。この旗の台駅に現れたことが重要である。

さて、現在の状況がいつまで続くのか。しばらくはきっと大きな改修もなされず、このまま残ることだろう。しかしながら、バリアフリーへの対応がまるでなされていない現状を放置するわけにもいかない。私はお母さんがベビーカーを抱えながら階段を下りる姿を幾度も目にしている。「この駅は階段が大変でねェ・・・」とおばあさんがつぶやくのも聞いた。このままでよいはずが無い。一方で、駅の構造を考えると、エスカレーターやエレベーターを簡単に増設できないことは私でもわかる。風変わりな駅を訪ねる物好きではなく普段の利用者にやさしい駅になるためには抜本的な改築は避けられない、と思う。

 

[旗の台駅]     [Station List]