独断場

一言いえば、屋根が全て。大きな片流れと車寄せの切妻がその存在を強くアピールする。もしこれを省いたら、少し大ぶりな変哲の無い木造平屋の駅舎だったりする。裏を返せばこの屋根を徹底的にデフォルメした所にデザイン上の成功がある、と私は思うが如何だろうか。

駅舎のモデルは地元の象徴というべき三嶋大社の建造物の一つだといわれる。この点だけ着目すれば「ディズニーランダゼイション」([JR東海・市川大門駅]参照)の範疇に含まれる駅舎、となる。しかしながら建設時期や時代背景を考慮しても、この駅舎を「ディズニーランダゼイション」の一つとみなすことは難しいように思う。私の中でその理由が明確に整理されているわけではないが、おそらくその一つは駅舎全体のデザインとデフォルメされた屋根との関係に見ることが出来るのではないか。

前述のように三島駅舎のデザインは屋根のデフォルメによって成功している。換言すれば駅舎の美しさは屋根に支えられており、駅舎にとって屋根は不可欠な存在になっている。翻って「ディズニーランダゼイション」の例である市川大門駅を見ると、この駅を飾る中国風屋根が駅舎の美しさを生む存在足りえているか、私はそう思えないし、当然市川大門駅が美しい駅だとも思えない。
客観的な基準とはいえないが、「ディズニーランダゼイション」か否かの分かれ目は建物の美しさを成立させるパーツを持つか、あるいは建物を美しく見せる構成力があるか、との点にあるのだろう。