独断場

まずは特筆しておかねばならない。メンテナンスが行き届いていて大事に使用されているのがすばらしい。コンコース内に派手な広告などを避けているのも気持ちが良い。この状態を何時までも維持して欲しいと切に願う。
「ネオ・ルネッサンス」様式を敷衍したもう一つの代表例「門司港駅」である。この重要文化財と日光駅を対比すると、後者がより優美で軽やかな印象を受ける。一方で高い気品が両駅共通に感じられる。日光駅では、外壁の柱間と窓のスケール、通風の役目を持つドーマー窓と屋根、特にこれらが優れたバランスを保っていて、その気高さを醸し出しているのだろう。この建物が放つ気品の高い香りは現代建築では中々沸き立たない。
日光駅がナゼこのような洋風建築になったのか、その理由付けとして「外国人観光客を意識したため」とよく言われる。確かにそれは大きな理由として説明できそうだが、それならば完全な和風建築の方が観光客に受けが良かったかもしれない。日光といえばまず東照宮であり、日光駅はその玄関口になるのだから、なおさらである。
そこで、日光駅と同時期に竣工した駅(現存しないものが多い)を今一度顧みると、原宿駅・東京駅・小田原駅など完成度の高い洋風建築が多い。日光駅が「ネオ・ルネッサンス」様式を選択したのは先の理由の他、おそらく駅舎デザインの流行に乗じた結果、という一面もあるのではないか。因みに門司港駅の竣工は1913年。ほぼ日光駅と「同世代」である。
最後に、JR東日本制作のポスターにおいて日光駅が「フランク・ロイド・ライトの設計と伝えられています」云々という記述を見た。しかし、私なりに調べた限りそれを証明するものは見当たらないし、他の設計作品(旧帝国ホテル・グッゲンハイム美術館・タリアセンなど)との共通点が全く(あくまで資料を見た限りですが)感じられない。この伝は私は支持できません。


