独断場

設計者の毛綱毅曠は日本を代表する建築家の一人だった。「だった」というのは残念ながら先頃亡くなったからである。毛綱氏の建築は建物のコンセプトを抽象的に表現するのではなく、素材や個性的なデザインを全面に押し出し建物の存在感を訴求するのが特徴だった(と私は解釈している)。
この大池いこいの森駅のコンセプトは「自然と人々とをうまく調和させることのできる『中間的な領域』」(駅待合室の案内板より)だといわれ、幾何学的な内部空間や直線的な構成と節目を露にした杉板を多用したデザインはそれを雄弁に語っているようである。

このような駅であるが周囲の山や森、田園と良く調和しており、ヴォリュームも大きすぎず小さすぎず結構な駅である。私は好きになりました。

なりましたが、一方でもう・・・ガックリ!
なぜというに、ろくにメンテナンスされていないことがすぐに判ったからだ。待合広場に架かる屋根はくもの巣が張り、男子トイレのサインマークは無くなっているし、駅前広場の植栽は雑草が生え放題。この上決定的に私を失望させたのは待合室の処置である。地元の小学生が制作した手作り観光マップが掲示されている待合室の壁には一方で無粋な公共ポスターもべたべたと貼られ、その剥がした跡を消したつもりか同系色のペンキで塗りなおした部分もある。これがオリジナルの色と彩度がまるで違うから、いかにも「やっつけ仕事」のようでみっともなく、子供たちの頑張りがむなしく思える。

実はこの駅に滞在した約一時間、私以外の人間はたった一人。その人も来たかと思えば駅前広場を一回りして立ち去った。利用者が少数だからお手入れはおざなりか、あるいは経費がかかって手が廻らないのだろうか。
鉄道会社も地元の皆様も誇りに感じて大事にして欲しいと思います。それにふさわしい、シンプルだけれど本当に良くデザインされた駅なのだから。