独断場

一見すると洋風のコテージとか、洒落た住宅のような雰囲気がある。「(フランク・ロイド)ライト風建築かな?」とも思った(よく見るとかなり違うけど)。この駅舎が建てられた頃は既に大磯町はリゾート地として世間一般に定着していたのだろう。しかし、棟の連なりや屋根の構成はむしろ和風建築に近いようにも見える。「よく出来た和洋折衷駅舎」と私は捉えた。(*)

小さい駅だが、駅前もこじんまりとして静か。真夏のシーズン中はきっと観光客であふれるのだろうが、訪れた4月の平日は人もまばらでこの駅の規模に相応しかった。
少し離れた歩道から駅を眺めながら、「はて、大磯駅が今・現在に造られるとすればどんな駅になっているだろう?」と考えた。きっと、ショッピングセンターが同居している駅ビルのような、派手めなデザインになるのだろうな、と思う。あるいは、大磯のイメージに沿うような景観や生き物などをモチーフにした「表現主義的」な建築になるのかなあ。

そんなことを想像すると、現存の駅舎は竣工当時の地元住民や訪れる避暑客などの美意識や教養がある程度反映されているような気がする。ならば、今の私たちには経済原理が抑制された、鑑賞に堪えられる建物を造り上げるだけの美意識や教養はあるか。
(*) その後、第二次大戦前、特に昭和初期の住宅建築の傾向を知る機会を得た。その当時、アメリカで流行したスパニッシュ・スタイル(=スペイン風)が日本に持ち込まれ、特に住宅建築で盛んに応用されたらしい。大磯駅はその流行に倣ったものと考えるのが自然に思われる。