独断場

 

今に残る建物やホームはかつての栄光に思いをはせるには十分である。

だからこそ、ここでは駅自体ではなくその在り様、周囲の環境を考えざるを得ない。

いま、この駅はこの地域でどのように位置付けられているのだろうか。駅のすぐそばには大相撲でおなじみの両国国技館や江戸東京博物館がある。が、駅前広場からその姿がはっきり見えるほど近いのにも関わらず、駅とは正対していない。江戸東京博物館の場合など、裏口からこっそり入るようなうら寂しささえ感じる。

その駅前広場は有料駐車場なっている他、客待ちのタクシーが連なる。故に歩行者はその端を歩くことを余儀なくされる。駅の主役はクルマではない。人だというのに。

つまり、この両国の町にとって両国駅はたいした問題のではない、ということか。周囲が駅に対する何らの意識も働いていないのならば、駅舎に入居している飲食店がその外壁にでかでかと看板を掲げネオンサインを貼り付けるのも無理はない。

しかし、竣工して70年以上、今尚美しい姿をとどめるこの駅舎に対して、何らかのレスペクトがあってしかるべきではないのか。この駅の保存を軸とした再開発があっても不自然ではないと思う。駅から飲食店への転用も保存・活用の有効な手段だとは思うが、レスペクトを欠く保存など保存ではない(そんな意識があったとも思ってないけど)。

改良工事によって当時の西口が臨時口に『格下げ』されようとした時、地元から「ヒトの流れが変わる」と反対運動が起きたと聞くが他にやるべきこと、要求すべきことはなかったのか。

[両国駅]           [Station List]