独断場

私が訪れた当日は平日の午後。ハイキング姿の行楽客がいる一方で、大勢の高校生・大学生が駅に入っていく。また、朝7時ごろにたまたま下車したときは、通勤通学客が途切れなく押し寄せていて、乗客を送りに来る車がベルトコンベア宜しく数珠繋ぎになって駅前広場に入っては消えていく。正直なところ、ヨソ者の私には駅前広場が危なかしくて仕方が無い。本来は天皇陵参拝者や近郊の高尾山を目指す観光客のためのはずが、いまや完全なベッドタウンのための駅になっている。だから、その駅前広場の一角を占める土産物屋がミスマッチに見えた。曽田甚三が現在の光景を見たらどう思うことか。
さて、駅舎であるが、やはり白い壁と茶色の柱・梁によるシンプルな構成が印象的である。竣工当時より水平方向に増築が重ねられているというが、大きな車寄せと本屋のバランスが取れている現在の姿は、竣工当時よりむしろ美しいのではないだろうか。
これを、曽田甚三が設計したもう一つの駅、旧大社駅と比べてみると、旧大社駅が瓦葺き屋根でより重厚なイメージであり、また駅舎のスケールが一回りおおきくて、その分窓が明快に見える点など違いも多いが、基本的な構成は大差ない気がする(とはいえ、私が旧大社駅を訪れたのは数年前に一度だけ。この感想は資料を多分に補足しての判断であるから、この比較を意識して再訪すると印象は変わるかもしれない)。
因みに駅舎内のキオスクが『きおすく』と表記され、駅舎隣の某ファストフードショップが駅舎の形を模している。周囲を無視してデザインするのも愚であるが、中途半端な調和や借用もどうかと思う。


