独断場

 

館林市内の某美術館を訪れるため、たまたま降りた駅だったが、何も期待していなかった分印象的に見え、このHPで取り上げた次第である。

まず、構内が広くホームが立派なことに目を見張った。民鉄の駅というよりJRの地方都市にある、それも特急列車が発着するような大きな駅にやってきた気がした。ホームの木造屋根・柱の組成やディティールに風格さえ漂う。私にとっては心地よい空間であった。

駅舎は奇妙といえば奇妙な姿をしている。軒の無い寄棟屋根は洋館の佇まいであるが、壁体は殆ど装飾を施さず無機質である(窓枠がアルミサッシに交換されているので面白みも無い)。屋根と壁体のギャップは、洋館風なような、モダンデザインの一形態のような、どっちつかずな姿を生んでいる。更にその「どっちつかず」を増幅するのがファサードのアーチである。この曲線は「分離派」(*)のようでもあるし、ゴシック式教会の一部分を真似たようにも見える。いずれにしても全体のフォルムからすれば唐突なデザインで、駅舎を一層奇妙なものに見せるのはこれである。しかし、このアーチによって駅舎が周囲の視線を集めていることも事実だろう。

私は館林駅を決して「美しい」とか「完成度が高い」等とは思わないが、「よく見ると変わった駅」は嫌いではない。


(*)分離派:1920(大正9)年に堀口捨身、山田守、石本喜久治らによって結成された建築家グループと彼らの建築デザインを指す。当時のドイツやオーストリアに見られた先端デザインを吸収し、従来の建築様式からの「分離」を宣言した。

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