独壇場

まだ、新幹線が開通していない頃、何度か下車したことがある。もうずいぶん前の話だが、その頃を思うと駅舎がきれいになったのに驚く反面、かつての信越本線、即ち現在のしなの鉄道ホームの姿に寂しさを覚える。かつて、このホームには多くの特急列車が発着していたはずなのだが、その面影は今いずこ。
「お城口」のファサードは私には好感が持てる。上田市内には戦国大名真田氏の居城であった上田城があり、駅舎はこれを表現したものであろう。壁には四角い突起が六個ずつ並ぶが、これは真田氏の家紋「六文銭」を表すのだという。新幹線駅舎に機能性一点張りで美的装飾を排したものが多い一方で、ご当地のシンボルを借用するこの種のデザインには、とかく極端に派手であったりモデルをデフォルメして結果的に破綻するケースが多いのだが、上田駅はその点を上手く処理していると思う。これと比べて「温泉口」の跨線橋階段のデザインがあまりにそっけなく、品性にも欠ける。上田交通ホームの外壁はよく見るとチープではあるが、近未来的のようでもあり少なくともこの跨線橋よりは良い。「温泉口」はこのデザインで統一しても良かったのではないか。
駅は利用者が意外に(失礼!)多くにぎやかであった。特にしなの鉄道は上田駅を下車する利用者や待合室で列車を待つ乗客でコンコースが混雑していた。それでもしなの鉄道は来年度(2002年度)入社社員の新規採用を中止したというから、第三セクターの鉄道経営の困難さは推して知るべし、である。
ついでに書き加えると、わたしは佐久平駅から北陸新幹線に乗って上田駅に入ったのだが、制服姿の女子高校生が同様に佐久平駅から乗り込み上田駅で下車したのには驚いた。北陸新幹線の場合、一駅区間のみの特急料金は800円だから、小海線としなの鉄道の乗り換えや列車の待ち時間を考えると、「いっそ新幹線で・・・」という判断かもしれないが私の常識を超えている。



