独断場

(左側の写真、使ってだいじょうぶかな?右側は石川啄木歌碑)

つて上野駅といえば『北の玄関口』といわれ、東北・信越地方へ向かう数々の優等列車が発着していた。子供の頃関西に住んでいた私めにとってはまさに憧れの駅。それが、東北・上越新幹線の開通による優等列車の激減によって一気に寂しくなった。しかもその新幹線の始発駅の栄誉は東京駅に持ち去られ通過列車さえ出る始末で、『玄関口』としてのプライドは寝台特急「北斗星」「カシオペア」の存在によってやっと支えられている状態である。上京して初めて上野駅に来たとき、その薄暗さ、薄汚さにかつての憧れは吹き飛んだ覚えがある。その後、一年間否応なしに利用せざるを得なくなったのだが気持ちのよいものではなかった。

とはいえ、北関東から来る大部分の快速・普通列車を一手に引き受ける駅でもある上野駅だ。利用者はもちろん都内有数、このお客さんをただ通過させるだけではいまや「完全民営会社」JR東日本の名がすたるというものである。上野駅が「アトレ 上野」に変身したのは当然とも言える。上野駅にとっても起死回生のチャンスであったろう。もっとも、「アトレ 上野」が生まれる以前にこれを予兆するような専門店街「ティラ上野」はあった。この存在を私はをユニークに感じていてなんとなく興味を持っていた。

「アトレ 上野」開業をまって私は上野駅を訪れることにした。「アトレ 上野」開業から5日後のこと、駅はかなりの賑わいを見せていた。

 

まず、第一印象:とにかくきれいになった。明るくなった。特に「アトレ 上野」の「7番街」に並ぶ店舗(あの高級スーパー“THE Garden 自由が丘”まである!)のスタイルや通路はとても上野駅の構内とは思えない。変われば変わるものである。改装された駅舎は竣工後増設されたプレハブ部分や無造作に壁面を走っていた配管が撤去された上に、改めて再塗装されていた。この「ツルピカ」感は異質に思えるが時間がたてば馴染んでくるのかとも思う。ただ、よほどの突貫工事だったのか、構内にはまだ開店準備中の店舗や改装の手直しに後片付けをする職人さんがあちこちで見られた。

面白い、と思ったのは駅舎の内部空間を含めた重厚さと、改装された専門店街やコンコースの屋根などに見られる「軽さ」あるいは再び改装されてもおかしくない「仮設性」とのコントラストである。「かわっていくもの」と「かわらないもの」とが共存する、時の流れの瞬間を体験しているような感覚に襲われるのである。

少なからず驚きをもってホームや地下道に入っていくと、そこは私がよく知っていた上野駅だった。ここも何とかしなよ!と思いながらどこかホッとしたのも事実である。

 

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