
訪れる前に持っていた予備知識は二つ。設計者が安藤忠雄であること、帆船をイメージしたデザインであること。
実は安藤忠雄設計の建築物を今まで直に見たことがなかった。ユニバーサルシティ駅を見たときは「オヤ!?」
理由の一つは、氏の代名詞である“コンクリート打ち放し”が目に付かないこと(“打ち放し”に見せたパネルは壁面に多く貼られているが)。いまひとつは、本や資料などを見る限りコンクリートで密閉された建物ばかりといった印象が強かったので、開放的なこの駅が意外に思えたからだ。設備の面から眺めれば対向式ホーム二本だけ、場内側線もなくいたってシンプルな駅なのである。
ただ、よく「・・・をイメージした」ものには(建築物に限らず)受け取る側にその貧困な想像力を以ってウンザリせしめることが多い中で、この駅は「なるほど」と思わせる非常に解りやすい姿をしている。また、意図しているかは知らないが真夏の真っ盛りである割には意外に涼しい。『帆船』の『帆』は結構な『日傘』でもあるのだ。
こんな駅舎の全容を電車の中から見ることはほぼ不可能。電車は駅にまっすぐ入線するかたちになりやむを得ない。やむを得ないけれど駅舎が迫り来るような演出があれば「ついに来た!」「さあ、遊ぶぞ!」といったお客さんの高揚感も高まるだろうに。
この「高揚感」、エンターテイメントスペースの『玄関』においてはとても重要な要素だろう。ユニバーサルシティ駅にはこれが決定的に欠けているように思えてならない。個人的には残念。
品のない広告が排除されているのは良いとして、一方でグレーが主だったモノトーンの構内は悪く言えばクライ。雰囲気が都心郊外にありがちな新設駅と変わり映え無いのである。この内装はUSJの指導か設計者の意図か、あるいはJRに思うところがあるのか、知る由もないけれど、これも先の「高揚感」と関わる。
ついでに付け加えると、見たところお客さんが少なすぎませんか?平日とはいえ全国を相手にするテーメパークの最寄駅の利用者数としては物足りない感じがする(あくまでも見た感じ、でのことですが)
駅前のショッピングモールは赤や緑などの原色で身を固めたもの、日本らしさを排除したムードを演出しようとしているみたいだが、この手の外装は街中でも良く見ます。建物の色彩に対する感覚が変化しつつあるのかもしれない。


