旅行記

北海道へ行くの記 ―その3―

その2より

札幌のホテルのベッドで朝を迎えた。寝ぼけマナコで窓から覗いた札幌の街並みは朝日で照らされている。「寝坊したか?!」はっとして時計を見やると4:00になったばかりである。そういえば昨日の青函トンネルを通過したときも時の錯覚を覚えるほど夜明けが早いのに驚いたばかりだったはずだ。予定の起床時刻より一時間も早く起きてしまった。テレビをつけるとサッカー・ヨーロッパチャンピオンズリーグの決勝戦を中継しているので試合終了まで見る。サッカーよりも寝なおして結果的に寝坊するのがこわかった。5:00にホテルを出て大通り公園や時計台を一瞥し、札幌駅へ向かった。来年春にグランドオープンするという新駅舎がその威容をほぼ現している。早朝の札幌駅はまだラッシュ時間には早いようだが発着する列車からは多くの乗客が吐き出される。新千歳空港駅に行くべく乗車した快速エアポートも06:19発だというのに座席は完全にふさがっていた。なお、新千歳空港駅へ行くのは飛行機に乗るためでもましてや帰京するためではない。単に駅を観るためだ。

札幌駅を出た快速は市街地の郊外を飛び出し原野を駈けて行く。不思議だな、と思うことは平野のスケールは内地とはまるで違うのに住宅の大きさは内地と殆ど変わらないことだ。住宅価格に地域格差は意外に小さくて「全国共通」だということか。しかし広々とした平野を背に住宅がせせこましく並ぶ様は奇妙に見える。新千歳空港駅は快速の終着駅で、新千歳空港の搭乗ビルと直結している。内装デザインがユニークなこの駅は地下駅にもかかわらず楽しめた。おそらくこの日、飛行機との乗り換え以外の目的で新千歳空港駅にやってきた乗客は私一人だけに違いない。堪能した私は08:19の快速で小樽へ向かった。この時刻に飛行機から乗り換える利用者はわずかであったが、途中駅に停車するたびに乗客を増やしすぐにデッキにまであふれた。

新札幌駅や札幌駅で途中下車をして、改めて札幌発09:31区間快速に乗車する。立ち客も多い車内は地元の親子連れもいれば観光客もいる。修学旅行の自由行動なのか、バックパックを背負った制服姿の中学生の一団も立っている。ここからは初めて乗る線路なのでじっくり外を眺めたいところであるが、使用されている車両は731系という窓に背を向けたいわゆる「ロングシート」。残念だが込み具合を考えるとこの方が効率的ではある。

しばらくは札幌の郊外住宅地然とした街並みがつついていた右窓の風景は、銭函駅を出ると海岸に変わった。件の中学生達は声を上げてメイ一杯顔を窓に近づける。私や隣り合わせた観光客は必死になって首を反転させる。向かいの地元客はそんな私たちを一瞥するだけで窓の外には目もくれない。日本海であるから決して明るい海ではないが、大きく右へ曲がる海岸線は私の視線をその先に翳む小樽の町に導いた。首の痛い思いが十分に報われる眺めであった。

10:11小樽駅到着。山が海のそばに迫り、坂がそのまま町になったようなところ。良い港町の証でもある。

その4へ続く

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