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「タイ刑務所生録日誌」 第1回
日本の皆様、いかがお過ごしでしょうか?私は現在タイの刑務所にあるケースで服役しているものです。いろいろとわずらわしい事情があり、何のケースとか詳しいことは(まだ?)明かせませんが、何ゆえにもディープなタイのこと、タイといえば……、といろいろと想像をふくらませてください。
最近たまーに「刑務所録」「刑務所日記」の類の本の話を聞きますが、日本ではタイのやつは紹介されていないと思うので、フツウの日本に飽き飽きした方、超レアな話を求めている方、また、普通の主婦の方など、いろいろな人たちに読んでもらえると嬉しいです。
特に読んでもらいたいのは、今悪いことをやっている方や、これから悪いことをやろうとしている方々に「俺だけつかまらないと思ってるだろうけど、つかまるよー。つかまるとこんなとこ入るよー(うらめ視野の口調で)」というアドバイスを経験の上からさせて頂きたいのです。
ここに入ってくる人たちがほとんどそうなように、つかまるまではこの国の法律がムチャクチャきついなんてまったく知らず、特に ドラッグに対する判決は殺人よりも重い のです。ちなみに、ヘロイン20g以上で死刑が出ることもままある。しかも何年で出られるという基準はないので、はっきり言っていつ帰れるかわかりません。ちなみに、60歳の日本人が一人、18年中にいますが、先はまだわからない……
湿っぽい話はこのくらいにして、この中の様子などをゆるゆるとご紹介しましょう。
タイの刑務所は女子刑務所を除いて、ほとんど刑務所らしい規制がないような状態で、タイの暑さのためかなりの囚人が短パン一丁でウロウロしていますがぜんぜん平気です。一方この女子刑務所というところが考えられないくらい「地獄の黙示録」的サバイバル状況みたいですごいらしいです。入る直前には、映画みたいにコワもてのマフィアやギャングがウヨウヨしていてヤバそうだなーと思ったりもしていましたが、入ってビックリ、なんかみーんな大人しそうで(特にタイ人)、「これがバンバン人殺して入ってきている悪人かい!?」といぶかしんでしまいました。
いつも大人しくてニコニコしているタイの友達のケースが、実は幼女レイプ殺人犯だったり、蚊トンボみたいなひょろひょろの連中がヒットマンだったりします。しかし、ヒットマンというのは名ばかりで、かなりの数が、貧乏で金欲しさのためにやった「パートタイムヒットマン」みたいなもので、実に人畜無害です。いや人畜無害どころか、よい人が多いので、この人たちも生きていくのに十分なお金が外であったら普通のいいお父さんたちのような気もします。
本物のプロのヒットマンといえば数年前にタイのTV局のオーナーが二人乗りバイクに横付けされて、ベンツの中に座ったまま撃ち殺される、という事件がありました。その後つかまってテレビに出ていた犯人がここに入ってきて、何かの折に「もしかして…あなたは…」「ハイそうです」という会話を交わせるというのもちょっとシュールな感じです。
ヒットマンや、バラバラ殺人の犯人など話は尽きないのですが、今回はこの辺にしておきます。
前述のように皆、結構大人しいのでナイフやらロープやらカナヅチやら本来なら刑務所にあってはいけない物がすべてあるにもかかわらず、ヤバい事もそれほどなく、ボーイスカウトキャンプみたいです。木工場もありますが、趣味で大工道具を揃えている人もいるので、ちょっとした椅子やテーブルが欲しいときには木片やらをその辺から見つけて来たり、安くトレードしたりしてトンテンカンと作ってしまいます。あと刑務所らしいのは、いいナイフが手に入りにくいため、鉄のひらたい棒状のものをシャキシャキに磨いで木の柄をつけたり(これは上等種)、ステンレスのレンゲスプーンをハンマーでたたきのばして、といでつかうのです。
次回以降は予定として「刑務所オカマ事情」「どのようにして囚人はバタバタと死んでいくのか?その謎に迫る」「気ちがいの方々」などの話を書きたいと思っています。 |