うわさには聞いていたけど、小さい飛行機。
飛び立つときに臨場感がある。振動がもろに伝わってくる。
全身で「とぶぞう、どぶぞ〜!」って頑張っている感じなのがいじらしい。
低い位置を飛ぶので、海の波や船、建物の様子がよくわかる。風がつよいのか、白波が多く見えた。
やっぱり海がきれい。自然が持つ色とは、なんと鮮やか。かえって「人工的」な感じすら受けてしまう。
もし、私が天地創造の神だとしたらこんな色に海を染めるだろうか。こんな深い青に?こんなグラデーションに?
空の青さよりも、何か神秘的な青の列。
荒々しい波の上とは変わって空は静か。おだやかな飛行時間だ。
波照間島が見えてきた。この風景がもう終わりかぁと思うとちょっと残念。船にくらべるとずっとあっけない。
飛行機はふわふわとのんびりと島にむかって、着陸した。(とんぼみたいに、すーっと)
船で来た時より、「波照間島に来たんだなぁ!」という気持ちが薄いように思う。
ラクチンすぎて。交通手段というのは、かなり旅の感慨を左右するものだ。
飛行場には何件かの民宿のワゴンが送迎に来ていて、たましろ荘のおじさんもいた。
「今日、空いてませんか?」と聞きたいのをぐっとこらえる。
おじさんは、かなり満面の笑みで立っていた。にくいほどに。
一緒に飛行機に乗ってきた人は次々にワゴンにのって行ってしまった。
ぽつん、とひとり残された私。しばらく、待合所で待ってみる。
のどかわいたなぁ。と思って売店のジュースでも買うか、と立ち上がると…。
おばちゃんは店を閉めているではないですか。飛行機がいっちゃったら、もう人はこないってこと?
私の今日の宿、勝連荘の人はやってこない。飛行場からまっすぐに続いている道には車影さえも見えない。
(絶対こない!! 忘れられている…。)
とりあえず電話してみた。寂しい気持ちだ。
「あの〜今日、予約をしているキシですけど。」
『きびさん?』
「いえ、キシ、です。き、し。」
『き、 び さん?』
「ちがいます。き、し ですぅ」
『きびさん?』
「いえ! かきくけこ、の”き”、さしすけそ、の”し”です。」
『のしさん??? よく分からないなぁ。』
あ〜もう。わかってよ〜。
『きびさんという名前はありませんよ。』(あたりまえだって)
『今日はいっぱいだけどねぇ。』(えええええーっ)
がっちょーん。
まいっちゃうよ〜おじい!!
「えっ! 予約してますよ。今日いくって電話したじゃないですか! 飛行機で来たんです。今、飛行場です!」
必死におじいに訴える。
『え、今飛行場? 今迎えによこすから××× がちゃん』
え〜切ったよ〜。なんと言ってたんだろう。
迎えにいくから、と言っていたような。とりあえず、待つ。
しばらくするとさとうきび畑のまっすぐの道から白いワゴンがやってきた。
「あ〜。お待たせしました。今、来たの?」
電話に出た人よりも声が若い感じだ。
「キシです! 予約はいってましたよね? 」と必死でふたたび確認。「いやあ、大丈夫。どこからきた?東京?」
なんだか良く分からないが、とりあえず安心した。
波照間島の一日目はなんだか波瀾の予感。
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