勝連荘は思ったより綺麗で立派な民家だった。
(たましろ荘がぼろっち過ぎるだけかもしれない。
泊まったことがあるのはたましろだけだから)
奥の座敷からゆっくりと例の”おじい”が出てきた。
なにやら風格のある、がっちりと毛深いおじいだ。
そのスーパーおじいから部屋の説明やらエアコンの説明、洗濯機の説明などを受ける。
「この洗濯機なんだけどよ、みんなこの触っちゃダメ だっ、て いっている のにここを押してしまうわけさ。
(それは給水用のスタートボタン)もし、ここを 押してしまうと、 空回りして熱をもって壊れてしまうよ。
島には直す人がいないから、石垣島までもって いって 直さなければならない。まったく面倒なことだ。 無料で貸してるのに
費用だけでも あ〜相当だよ。船にのせて石垣まで持っていいくんだもの。あ〜 誰かがこのボタンを押してしまわないか、
考えただけでも、毎日 毎日、眠れなくて…。本当に眠れないのよ…。 この前も、何度も言ったのに押してしまった人がいてよ、も〜ガランガランして
しまって…。よく聞いておきなさい。このボタンだから。触っていいのはこっちのボタン。大変だからよ〜もし壊れたら
石垣へもって行かなければならないからね。みんなさぁ…何度いってもよ、あああ(ためいき) 石垣島まで運ぶのは、相当なものだからよ…」
で、私はおじいの話の腰をおるようで申し訳なかったが、
「あの〜 間違って押さないようにテープでも貼っておいたらいいんじゃないですか?」
と言ったら
「………(しばしの沈黙) あんた!!
かしこいねぇ。そうだねぇ。私、今まで生きてきてその知恵がなかった。あ〜今からそうしよう。
しかし、あんたは知恵者だ。テープかぁ〜。考えつかなかった。あんたは権力者になれるよ。いや〜!
テープか! わっはっは、今からそうしよう。あんたにはたましろがあるねぇ。」
とものすごい誉められた。たましろ? 知恵者?
そして、権力者……今まで生きてきて最高のほめことばを次々に浴びせられる。
でも…。複雑な気持ち。
おじいは早速、赤いテープをもってきて、うれしそうに貼っていた。かわいいおじい。
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