マドリッド 闘牛


3/17(su) 19日目 宿泊地:マドリッド

「生と死を見つめる、闘牛」

昨日の興奮冷めぬままの勢いで、朝は早めに起きた。まだみんな寝てる。朝食を取りに寝ぼけ眼を擦りつつキッチンに行くと、玄関に昨日話してた女の子とその友達ともうひとり男の人が帰国のためチェックアウトしていた。1人、また1人、日本に帰っていくのです。寂しい限りですわ・・・。オキトくんも自分が起きた時にはもういなかった。ダラダラ身支度を済ませ、ユースのみんなに別れを告げてから空港へ。11:45分の便でマドリッドに帰ることになる。搭乗前に軽く昼食を済ませる。

 マドリッドの空港に着いた僕はすぐに空港内のロッカーを探す。でっかいロッカールームがあった。入り口には警備員がいる。とてもきれいなバゲッジルームで過去にぶっ壊されたような形跡も無い。賭けではあったけど、僕はここのバゲッジルームにでかいバックパックとパスポートとか航空チケットなどの貴重品を預けてしまうことにしようと思う。貴重品と大きな荷物を預けて身軽になり、一路地下鉄でアトーチャ駅へ。前にお世話になったオスタル・バレラを目指す。この前、出発する時にリザヴェーションは取ってあるので安心。今回は前回よりかなりいい部屋だ。夕方4時まで休憩してから、地下鉄でラス・ベンタス闘牛場へ。闘牛場へ入ったらまず座布団を借りましょう。1ユーロで皮の座布団を借りれます。これは借りとくべきですよ。自分の席はかなりいい席だった。ど真ん中の前のほうだった。予想外に場内はガラガラだった。闘牛のシーズンは毎年バレンシアの火祭りから開催される。火祭りはスペインの三大祭りの一つで、ちょうど3月の中旬から焼く1週間ほど続く。


マントの確認をする闘牛士たち

 闘牛がスタートした。まず、今回の闘牛士が入場。1人のメイン闘牛士に3人ほど子分のような闘牛士が後についている。闘牛のサイズ(たぶん450キロ〜500キロを超えるものまで)をお知らせする人が出てきた後に闘牛が入場するゲートが開く。とんでもないでかさの闘牛がものすごい勢いで飛び出してきた。おっかね〜。すごい興奮している闘牛は全くの野生だ。その鼻息が聞こえてくる。まず、闘牛場の三箇所に闘牛士が散り、闘牛を走らせて疲れさせる。そのあとピンク色のマントを持ったメインの闘牛士が闘牛をうまくかわしさらに疲れさせてゆく。次に、馬に乗った男が、馬に向かって突進する闘牛の背中を槍で思いっきり刺す。闘牛の背中からみるみる赤い地が吹き出てくる。だいぶ闘牛も弱ってくる。

 その次に、二本の華やかな槍のようなものを持った闘牛士が闘牛の突進を寸前まで待ってからヒラリ闘牛をかわしつつ、その槍を背中に刺していく。計6本。ここまでくると、さすがに闘牛がかわいそうになってくる。涙が出そうだ。僕は闘牛の間、なぜスペイン人はこんな残酷なショーをやるのだろうか?と考えていた。最期にメインの闘牛士が真っ赤なマントを持って闘牛場のど真ん中で闘牛を捌く。そしてサーベルを闘牛に向け、静止する。次の瞬間、闘牛士に向かって突進する闘牛の背中にサーベルが刺しこまれる。

 メインの闘牛士が3人いるわけだが、2番目に出てきた闘牛士はすごかった。ほかの2人は闘牛を一度でとどめを刺すことができなかった。2番目の闘牛士が刺したサーベルは、闘牛の心臓を確実に貫通しているのだろう。

 


ヒラリ、何百キロもある闘牛をかわす

最後のとどめとさしにいく闘牛士
命を懸けた闘いに息を呑む

サーベルを刺した闘牛士はじりじりと闘牛に滲み寄る。今まで殺気に満ちていた闘牛が、闘牛士を恐れるように、さがる。そして次の瞬間、闘牛士が腕を天に突き上げると同時に、闘牛は命尽きて地面にその巨体を叩きつけるように倒れた。観客席もスタンディングオベーション!僕も高揚する気持ちを抑えることができず立ちあがって拍手を贈った。

 闘牛はショーにすぎない。毎回6頭の闘牛が観客の前で殺されていく。闘牛士の命がけの勇姿に観客は興奮し、魅了される。日本では体験できない興奮だ。しかし、ただただ殺されていく牛の死が日本から闘牛を観に来た僕にとって無駄な死ではなかった。普段、日常的に僕は食肉、豚肉や鶏肉を食している。しかし、その日常に牛に対していちいち感謝することはない。闘牛は目の前で一つの生物が命を絶っていく。その課程を目の当たりにする。命、というものを意識せずにはいられなかった。貴重な経験だった。

 でも、明日から当分、マックや牛肉は食えそうにない・・・(^^;)。

興奮に酔いながら、ピザハットで夕食のピザを買ってオスタルに戻ったのだった。