
 |
|
 |
| 島崎藤村像前にて |
|
藤村作詞「惜別の歌」石碑 |
露天風呂に浸かりながら、白み始めた千曲川を眺めつつ、わたしは島崎藤村の「千曲川旅情の歌」を、何度も呟いていた。
「−−千曲川いざよう波の岸近き宿にのぼりーー」。この「岸近き宿」が、今わたしが湯に浸かっている『中棚荘』である。藤村は往時、この宿の部屋から雲を眺めつつ、詩作に耽ったという。
セピア色に染まった藤村の書籍を展示し、藤村が言っていた「新鮮と簡素」をテーマとしている「千曲川旅情・文学の温泉宿」。濁り酒を飲むほどに、わたしの好きな藤村の旅情の歌がこぼれてくる。
翌日は、懐古園にある「藤村記念館」を訪ね、藤村の直筆書簡や原稿など興味が尽きない。
城址の入口近くに、「小諸義塾」がある。藤村が6年余り、英語と国語を教えていた、当時の資料を展示している。
市内には今でも、藤村がよく通ったという「一膳飯揚羽屋」がある。創業は明治16年だという。わたしは藤村が好きだった一膳飯を味わいたいと、地図を片手に探した。
やっと見つけた店だが、残念ながらまだ時間が早くて、準備中である。
近くの酒屋で、地酒の「浅間嶽」を土産にした。

