
プライベート・ビーチを持つ三河湾の側にある「西浦温泉」(愛知県)を訪ねた翌日、近くの「みかわ温泉」へ、足を伸ばした。ホテルには劇場があり、芝居が観られるという。
義妹の運転する車で、常連の義母と妻とわたしの4人で海岸線をしばらく走ると、ホテルに着いた。
劇場は400人以上は入場できる、畳を敷き詰められた広いスペースである。舞台に直角に、長い座卓が並べられてあるので、飲み食いしながら楽しめる。
空いていた前方の席に座り、妻が売店で買ってきた熱燗をちびりちびりやりながら、開演を待つ。
しばらくして幕が開くと、博打を打っている場面から始まった。騙された堅気の金持ちが、金子を巻き上げられる。そこに、三度笠を被った渡り者が助っ人に入って、博徒たちを打ちのめすという、渡世人の芝居である。そこここにアドリブが飛び出してきたり、観客が野次ったりと、テレビには無い芝居の楽しさを堪能した。
1時間20分ほどの上演が終わると、昼時となる。休憩時間の1時間40分はカラオケ・タイムで、お客が次々と舞台に上がっていく。申し込んだ順で、妻がトップだった。この休憩時間に席を立って行った人たちは、温泉に入りに行ったという。2時から始まる「歌謡ショー」までには戻ってくるそうだ。
1時間ほど、十数人の役者たちの歌が終わると、終演となる。
出口近くには、上演した「新川博也一座」の役者たちが一列に並んで、我々を見送ってくれる。わたしはその中に入って、妻の構えたデジカメで、役者たちと記念撮影をする。
この劇場では、1ヶ月ごとに一座が変わるという。旅の途上、子どものころによく観た、懐かしい芝居を楽しむことができた。

