ぷろろうぐ 〜山本純之介、田無タワーと出逢う〜

 

 平成十三年七月某日(土曜日)。

 その日は、とあることがきっかけ(とてもじゃないが言えない理由……)で撤去されてしまった愛車弐号機(チャリ)の代わりとなる参号機を、父上に実家(静岡)から持ってきていただいていた。

 夕食を済ませて近くのドン・キホーテもうろつき終わり、午後九時を回った頃、父上曰く。

「どっか遊ぶとこないのか」

 近年UFOキャッチャー大好き人間になっているうちの父上(五十歳)の場合、「遊ぶとこ」=「ゲーセン」を意味する。しかし僕はゲーセンに行かなくなって久しいので、一年以上も住んだ町だというのにゲーセンのある所を知らない。

 仕方なく、車でさまようことにした。

 ひばりヶ丘駅方面に向かう途中、西の方にふと目を向けると、部分的に青とピンクでライトアップされて何だかイヤラシイ紫色っぽくなっている何かを発見。

父:「何だアレ」

僕:「あぁ、多分田無タワー」

 僕は引っ越してきた時に役所でもらった地図を思い出した。

父:「田無タワー?」

僕:「何か、お土産になってんだよね。『田無タワーサブレ』とか。それなりに有名なんとちゃうの」

父:「結構キレーなモンだな」

僕:「でも光ってんの部分的だよね。もっと光らせりゃいいのに」

 ↑最初から毒を吐く山本純之介。

 

 で、ひばりヶ丘にこれといって何もないことを確認した親子は、戻ることにした。

 しかし父上はかなり退屈していたようで、

「行ってみるか。田無タワー」

 と仰る。

僕:「行ってみる?」

父:「行くか」

僕:「行ってみよう」

 ↑実に安易な親子。

 

 二人の親子を乗せた沼津ナンバーのマツダのデミオ(シルバー)は、青梅街道を西へ走る。

 段々、近付く。

 アヤシイ光を放つ塔の根元まで来ると、父上、他のものに目を奪われた。

父:「お、あるじゃんゲーセン」

僕:「ん、後でね後で」

 ↑実の父を軽くあしらう。

 青梅街道から裏道に入り、多摩六都科学館付近に車を止めて車内から見上げる。

父:「鉄パイプ組み立てただけの物体だな」

僕:「何か無駄に光ってるよね」

父:「飛行機避けヒコーキヨケ」

 ↑かなりナゲヤリな言い方。

 そうして数分眺めた後、すぐ前のゲーセンに向かってしまったのであった。

 

 

 

 とてもさもない出会いです。

 

 しかし、これより後も山本家に於いてこんな扱いを受けていた田無タワーがひとつのHPを作り上げてしまうことになろうとは、本人含め誰も知る由もなかったのである……。