タイでの思い出 (Jan. 2002)

2日目 スリル満点の鉄道の旅
今回初めてタイに来て、絶対行きたいと思っていたところがあった。それはカンチャナブリーの旧泰緬(たいめん)鉄道である。ツアーでもこのコースが入ったものがたくさんあるが、ほとんどの場合、日程をまる1日削られてしまう。そこで初タイにして全く無謀な賭けに出た。それをこれから述べる。

この旧泰緬鉄道は第二次世界大戦時の旧日本軍が、ビルマへの軍需物資輸送のために建設した鉄道である。現在はカンチャナブリー〜ナムトク間だけが残る。1日わずか3往復のみ走り、約2時間の旅である。

朝5時30分、ホテルを出て歩いて5分で駅に着いた。朝早いにもかかわらず、地元の親子たちが100人くらい集まっていたのには驚いた。それから続々と人々が駅に集まってきた。列車に乗れるのかな、と心配していたが、それを一掃するかのように10両もの列車が駅に入ってきた。日本での常識では列車の本数が少ないローカル線では、せいぜい2、3両の列車だろうと思うのだが、タイではその常識は全く通じなかった。また、片田舎の駅にもかかわらず駅のホームでは屋台が空いていた。

列車に乗り込むと眺めがいい進行方向左側の座席に座った。地元の親子が相席した。その1人の母親は英語が通じたので話したところ、どうやら団体で「エラワンの滝」へ遠足に行くと言う。エラワンの滝はタイで一番美しい滝と言われ、カンチャナブリーの名勝の1つである。

列車が発車して10分後、まず見どころの1つの「クウェー川鉄橋」を通過した。橋の入り口で外国人観光客が見物していた。この橋は映画「戦場に架ける橋」の舞台になったところで、列車は大きな橋音をたててゆっくりと通過していった。私は窓から身をのりだしてひたすら写真を撮った。子供たちも大声ではしゃいでいた。まだ朝早かったので空はかすかに朝焼けしていて、なんとも心地よい気分であった。

それから15分くらいで「チョンカイの切り通し」を走り抜けた。これは線路を挟む形で垂直の岩山の真ん中を走るので、窓の横に岩壁がそそり立つのである。一瞬だったので気づかない人が多かった。

しばらくはのどかな風景が横切った。牛の姿や田園風景が私のバカンスを手伝ってくれた。ただ亜熱帯気候にしては朝早かったのか少し寒かった。車内は古ぼけていてどれくらい使っているのだろうと思わせるくらいであったが、そんな風情の車内とはしゃぐ子供たちが妙にマッチしてのどかな列車の旅が楽しむことができた。

しばらく川の景色から遠ざかっていたが、再び川の景色が見えてくると、いよいよメインである「アルヒル桟道橋」にかかり始めた。片側ではゆるやかに流れるクウェー・ノイ川を見下ろし、反対側では旧日本軍によって爆破された岩肌が手に届くくらい接近していた。この桟橋は、クウェー・ノイ川の断崖絶壁をすれすれに高架橋が架かっている。全長300mでおまけにS字カーブなので、列車は時速5km/hのゆっくりとしたスピードで走っていた。身をのりだしていない窓は1つもなかった。子供だけでなく大人たちもこのスリルと風景にはしゃいでいた。もちろん私もその1人で体の半分を乗り出して写真を撮った。それとは対照に川の流れは穏やかで、川岸に建っているリゾートホテルから多くの欧米系外国人観光客が列車を眺めていた。どっちが見物人かわからないくらいだったが、それが結構おもしろいところだ。このスリルと風情は、行った者でないとわからないかもしれない。本当に来てよかったと思った瞬間であった。

列車がカンチャナブリーを出発して約2時間後、「ワン・プー駅」に到着して私はここで降りた。ナムトク駅まで行く親子達とはここで別れた。ここからカンチャナブリーまで戻るバスが出ていると、昨晩泊まったホテルの従業員から聞いていたが、駅員に聞いてみるとここから2、3km離れているところの国道にバス停があるという。私はモトサイ(オートバイのタクシー)で、運転手のおじさんにしっかりつかまりながらバス停まで向かった。交渉の末料金30B。けれどもあと10Bをチップに渡した。おじさんはニッコリしてバス停を後にした。

カンチャナブリー〜ナムトク間は列車の本数こそ少ないが、バスは30分おきに出ている。約1時間で結ぶ。バスの方が早いのである。朝食を食べていなかったので、バス停の近くの食堂で食べることにした。ご飯の炒め物を頼んだ。豚肉とチンゲン菜のような菜っ葉との合わせ炒めで魚醤(タイの調味料)の香りが強かった。食べた後、食堂の前でバスを待った。食堂の女の子の話では、バス停に行かなくてもバスが来た時に手をあげればバスは止まってくれるという。実際そうだったが、タイではバスの乗り降りは自由なことが多いらしい。そしてバスに乗り込みカンチャナブリーに戻り、それからまたバスに乗り継いでバンコクへ向かった。

泰緬鉄道は本数が少ないために、観光にまる1日費やしてしまうことがほとんど。そこで今回実践してみたのが夜カンチャナブリーに泊り、早朝の列車に乗り込み、途中の「ワン・プー駅」で降りて(ワン・プー〜ナムトク間はたいして見どころがないらしい?)、バスに乗り継ぎ、カンチャナブリーからバンコクに戻る、というもの。不安を掲げて挑戦してみたが、ワン・プー駅からモトサイに乗れば行くことができる、とわかった。バンコク到着12時40分。タイの滞在日数が少ない方は、この方法で時間が有効に使うことができると思う。

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