こんにちは、いかがお過ごしでしょうか。
今年はカーニバルが早くて、2月8日まで。この期間、なんと言っても楽しみなのは、お菓子。地方によって少しずつ違って、ヴェネツィアは、ガラーニ(galani)という薄い揚げ菓子と、フリッテッラ(frittella,
複数形はfrittelle)というまん丸のドーナツで、ヴェネツィア風というプレーンのほかに、たいてい、カスタード・クリーム入りと、ザバイヨーネ・クリーム入りがあります。近所で、日ごろ気に入っているお菓子屋さんが3軒あって、なんだかんだとついつい1つずつ試しています。ほろ苦フリッテッラ
今日の夕方のことです。でかけた帰りにそのうちの1軒の前を通りがかって、また誘惑に負けてふらふらとお店に入りました。混んでいるのが外からも見えたのですが、時間からして、皆、そのフリッテッラなどをおやつに一つずつつまんでいるくらいだろうし、それならそんなに待つこともないだろう、と思ったのです。ところが入ってみると、そのときはちょうど、2人も3人も、持ち帰り用にいくつもお菓子を選んで、包んでもらっている人がいました。
いつもなら気が利く店員さんがいて、そんなときは、後から入った人にも用件だけ聞いて、1つだけすぐ食べると言えば、さっとそれだけ紙ナプキンにくるんで渡してくれます。今日も、こちらから「1つだけ、いいですか?」と頼んでみれば何でもないことだったのですが、いつもなら向こうから聞いてくれるだけに、なんだかタイミングを失って声をかけづらくなってしまったのです。顔も知ってるはずなのになんとなく知らんぷりで、他のお客さんのお菓子をゆっくりゆっくり包んでいる目の前の若い店員さんに、ウィンドウの前でイライラしていました。後から入ってきた男性のお客さんには、奥の方から他の店員がささっとやってきて、1つだけフリッテッラをさっと渡したのにも、余計いやな気分にさせられました。「あ、私も」と頼もうにも、その年配の店員は、すきも与えず、また奥に引っ込んでしまったのです。
ふと横を振り返ると、1人おいてその先に友人がいました。
「チャオ!久しぶり!元気?」「うんうん、元気、元気。」「どうしたの、今日は?」「○△の授業に出て、今終わったところ。」「あれ、試験期間なのに?授業があるの?」「そうそう、ちょっと早く始まったの。」「ふーん、そうなんだ。私は、フリッテッラを1個食べようと思ったんだけど・・・」「あ、私も!」「やっぱり?ここの、おいしいものね〜ついつい食べちゃう。でも今日は、さっきからずいぶん待たされちゃって。」
そういいながらきっと、私の眉間にはしわが寄っていただろうと思います。そうやって友人としゃべりながらも、体だけを友人の方に伸ばし、片足のつま先は、元いた場所を奪われまいと、しっかりウィンドウの前にくっつけていました。後からきた二人組みの老婦人が、私を両側から挟み込んで、今にも出し抜きそうに見えたのです。
ところが、突然そのうちの1人がくるりとこちらを向き、「次はあなたね?」「ええ、そうです。」友人との会話を聞いていたのかもしれないし、そうでないかもしれません。やれやれとほっとし、ようやく手の空いた店員さんに「クリームのフリッテッラ1つと・・・えーっと、Aは?」と友人の方を振り返りました。彼女も欲しかったのは1つだけだし、それが当然かと思ったのです。ところが、「いえ、私は後に来たから。順番を守るわ。」
はっ、としました。
イタリアにいると、とがめたてるほどの大不正ではないけれど、割り込みなどの細かいずるは日常茶飯事。結局はそれが全体の能率を悪くしている、と常々思っていました。だから、自分ではずるはしないけれども、でも、絶対にずるもされないぞ、と、いつのまにか私は肩をいからせていたのだと思います。
「私はこれ、このまま持ってくけど、あなたは?」
薄いめがねの似合う、ほっそりと知的な美人のその友人は、いつの間にか自分のフリッテッラを1つ持って、目の前に立っていました。
「あ・・・私はこれ、ここで食べていくから・・・」ほとんど無意識のままかじり始めてみたフリッテッラに目線を落としながらぼそぼそと答える私に、「じゃあまたね、試験、がんばってね。」そういって出て行った、10年以上も若い彼女が、ずっとずっと大人に見えました。
ではまた。
Fumie
26
gennaio 2005
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